活法整体とは?身体に優しい整体技術について
活法整体とは日本古武道の柔術に伝承される活法の中の一つのジャンルに属する手技療法です。
特徴として身体を本来の理想的な状態に整える力を引き出す事を目的としています。
身体は無理に外部から力を加えようとすると反発を始めます。
揉み返しと言われる反応もその中の一つです。
活法整体はその反発反応を防ぎ、施術の疲労もほぼありませんので、術者にも治療を受ける側にも双方に優しい治療と言えます。
本来活法整体は、武芸者の戦の現場あるいは激しい武芸の訓練の場から必然的に発生した技法のため、その即効性を第一に求められてきました。
また身体全体を立体的に診るために、身体の整いの他に精神的にスッキリした感覚が味わえるのも特徴の一つです。
活法整体のシステムを活用しメンタル整体をメニューに取り入れている治療院も多数あります。
身体に優しい触れ方と即効性の高い療法ですので、妊娠中の方や年配の方そして小さなお子様にも安心安全な治療法と言えます。
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活法整体で膝の痛み改善
活法とは
活法とは日本古武道の徒手柔術に伝承される技法です。
本来の活法は戦場や戦闘訓練の場において、殺法を受けた受傷者を速やかに正常な状態に戻すための救急救命処置法でした。
一概に活法と言っても様々な種類がありますが、その中でも覚醒活法(蘇生活法)と整復活法と呼ばれるものが代表的です。
覚醒活法
覚醒活法は締め技で気絶した(落ちた)状態から覚醒させるための活法です。
胸部を操作し呼吸を誘う「誘活」や背部に操作する活法として「背活」など、アプローチする個所や手法によってさらに様々な種類があります。
時代劇などで気絶した人の背中側に「えいやっ!」と刺激を与えて覚醒させる、あの動作も覚醒活法の1つと言えばイメージしやすいでしょう。
整復活法
整復活法は当て身や投げ技などで負った捻挫や脱臼、骨折の応急処置をする技法です。現代の柔道整復師はこの整復活法の技法を継承しています。
この二つの系統「覚醒活法」と「整復活法」を併せ持ち、より早く、より安全に、より効果的に、と改良を重ねてきたのが「活法整体」です。
歴史的背景
様々な柔術の流派と同じだけ、活法にも様々な操作法があります。
ある流派の活法整体は力技を主流に動作も大きいのが特徴ですが、これは創始者の身体が大きく腕力も強かったためだと考えられます。
その逆に繊細な技を基本に動作が小さい特徴の流派は創始者の身体が比較的小柄だったと推測されます。
また水辺の近くで派生した流派は、水難事故の際の救命処置にあたる「水活」と言われる技法を多く取り入れ、発展していきました。
このように武芸の場から始まった活法ですが、民間に広まったのは明治以降と言われています。
これは明治維新以降、仕事を失った武士たちが生活のために治療業を生業にしていたからと考えられています。
また同時に柔術も武士から民間に広まったので、その結果として活法整体の施術も少しずつ認知されるようになりました。
殺法と古武道
日本古武道の柔術に於いては、対象者を制すあるいは倒す事を目的とする「殺法」(さっぽう)と失神などの状態から覚醒させるための蘇生術(救急救命法)あるいはケガの応急処置法としての「活法」が表裏一体の関係を維持し伝承されてきました。
殺法は攻撃の最大効果を狙うために、人体の生理的弱点の急所を打突する事や
複雑な関節や筋肉の構成を経験的に分析し、本逆と言われる、いわゆる関節の独自の操作により対象者を制圧するものです。
打突や打ち込みなどによっては自律神経的ショックを与え、相手を一時的に動けなくさせる事を目的としています。
さらに絞法(こうほう)と言われる失神状態あるいは仮死状態に誘導する技法も多数存在しています。
殺法とはあくまでも「攻撃力を殺す」という意味で使用されています。故に後遺症や死に至る可能性が高い急所を攻撃するのは禁じ手とされてきました。
活法と殺法が表裏一体の関係であるのは、人体の骨格・筋肉・神経の系統、そして構成を分析応用する方法が全く同じであるためです。
なお、他の古武道である剣術や弓術、槍術など武器・得物・器物を扱う武術には活法の様な伝承は見当りません。
これは柔術が基本的に身体の操作による技法を中心に捉えられてきたからです。
現代の活法整体
手技療法には様々な考え方や哲理があり、それに伴うテクニックも多岐に渡ります。
歴史的に古流柔術の師範などが町道場で不具合を訴える方のために行っていた体術が活法整体でした。その後、海外から影響を受けたオステオパシーやカイロプラクティックやマッサージが国内に持ち込まれました。
明治・大正期にはそれらの術式の中から、様々な○○式整体などと称された流儀が多数派生しましたが、そこには柔術由来以外のものも多数存在していました。
今現在、指圧とカイロプラクティックを組み合わせたテクニックあるいはマッサージとの組み合わせなどで活法整体とされている場合も多いです。
統一された方針と技術が望まれていますが、活法整体や整体療法には未だにその確実な定義はありません。
また日本古来の武芸の流れを現代も継承している流派は非常に数が少ないのが現状です。
手技療法
手技療法とは、薬や道具などを使用せず、手技だけで行う治療術の事を言います。
種類として一般的には、整体・指圧・操体法・オステオパシー・カイロプラクティックなどがあります。
その他、エステティシャンやセラピスト等による施術も手技療法に当てはまります。
またこれらから派生して様々な流派があります。
どの手技療法が優れているかは受け手側(患者さん)の求めるものによって変わるので、一概には言えませんが、共通して求められているのは「安全で効果がしっかりと確認出来る事」ではないでしょうか。
施術・治療の方法
活法整体には数多くの種類があります。
- 腹部の中枢神経を調整するもの
- 背部の神経を調整するもの
- 筋肉傾倒を調整するもの
- 骨格を調整するもの
またそれぞれの施術者の個性によっても変わります。
その中でも特徴的なのは、活法整体の世界では、身体を連動するものと捉えているので、痛みや不具合のある個所に直接アプローチしない場合が多くなります。
これは自発的にあるいは自然に身体が整う事を目的にするものなので、出来るだけ抵抗作用を起こすことを抑えるためです。
活法整体の期待される効果
活法整体による具体的な期待できる効果はどの様なものがあるのか、大きくまとめました。
効果1 痛みの軽減
ギックリ腰などの急性の痛みや四十肩などの慢性の痛みあるいは捻挫や肉離れなどの事故にも対応できます。
効果2 不定愁訴の緩和
何となく体調が悪い、季節の変わり目に体調を崩す、あるいは片頭痛など医療機関での検査では特に異常が認められないような症状にも効果的です。
効果3 長期にわたる不具合への対応
長期経年の過去の外傷や疾病による不具合の改善を目的としています。
妙見活法では外傷により60年以上正座が出来なかった女性が、たった一度の治療で解決された報告もあります。脳梗塞や事故による長期の後遺症にも効果的な対応が求められています。
効果4 健康的な精神へ
活法整体では身体と精神は一つの連動体と捉えて考えます。そのために身体へのアプローチ操作法はそのまま効率的に精神の問題にも応用されています。
現代社会は情報過多社会と言われていますが、それだけ人間社会が複雑化されている関係ゆえにプレッシャーからのストレスは拡大する一方とされています。
活法整体はこれらのメンタルテクニックとしても活用されています。
活法整体に向いている方~患者・治療家~

活法整体で健康に
こんな患者さんにお勧め
身体の不具合を抱えている、全ての人が対象です。
逆に向かない人は「治りたくない人」「治す意思が無い人」です。
稀にご家族に無理やり連れて来られたと、施術を受ける気もない人がいますが、このような自発性のない方には効果を実感し難いことがあります。
こんな治療家にお勧め
それぞれの治療現場にて、求められるものも多岐に渡ります。
もし以下の項目が一つでも当てはまるのでしたら、活法整体の導入を検討するのも良いでしょう。
- 無駄のない効果的なテクニックを求めている
- きちんと結果を出すための時間短縮を求めている
- 患者さんに感動を与えたい
- 他院との差別化を模索している
- 本質を突き詰めて考えたい
活法整体を取り入れた治療現場の声
既に活法整体をメニューに取り入れて、素晴らしい治療効果を上げている先生方が全国にたくさんいます。
一部ですが、臨床報告をご紹介します。
臨床報告~
愛知県 鍼灸整体師
症例 40代男性 肩痛~
学生時代に野球をしていた際に関節唇を損傷。
それからずっと右肩に痛みと違和感を覚えていました。
1週間前から痛みがひどくなりご紹介で来院されました。
腕も90度近くまでしか上がらずそれ以上は痛みを訴えられました。
7月のセミナーにて教わった技術で施術しますと
痛みなく動かせるようになりました。
「何年もリハビリしても動かなかったのにどうして?」
と不思議そうでした。
臨床報告~
千葉県 柔道整復師
症例 40代女性 不眠・耳鳴り・腰痛・頭の常時ふわふわ感~
10年前に整体に行ったときに、頭を木槌で叩く治療法だったそうで、その治療後から頭の常時フワフワ感・不眠・耳鳴りが起こったそうです。
あちこち病院にいっても原因不明で結局投薬を勧められるだけの中、本人が薬は飲みたくないという意思で現在に至ったそうです。
腰痛は最近出てきて、近くの接骨院にいったところ、筋肉が硬いからとそこの術者が肘でゴリゴリ強刺激を行い、お尻が触るだけで痛くなってしまったそうです。
当院は痛い事・怖いことは一切やらない旨を伝えて施術いたしました。
4月5月に教わった技術をそれぞれ使いますと、
腰痛・頭のフワフワ感・お尻の筋損傷は消失いたしました。
耳鳴りは半減いたしました。
後日談で治療以降今までになく深く眠れるようになったそうです。
臨床報告~
熊本県 柔道整復師
症例 40代女性 脳梗塞の後遺症~
24年前に脳腫瘍で平衡機能障害、左顔面麻痺、右上半身から下半身麻痺。
それから3年前に2回脳梗塞を発症
脳腫瘍の症状が悪化し右足首と右足趾が動かなくなって痺れあり、また言葉をはっきりと話すことが出来ず、立位の状態もふらつき立てず介助無しでは歩けない状態でした。
何年もの間、複数の病院で治療やリハビリをしていたが、変わらなかったということでした。
たまたま当院が脳梗塞の治療ができるということを、ネットで旦那さんが見つけて、
半信半疑で来院されました。
本人の希望は、歩けるようになって痺れが取れればということでしたので、
先ず自分で動かせるようになって自分で歩けるように一緒に治しましょうということで治療を始めました。
患者さんの腕や足、お腹などを使って3月のセミナーで教わった技法を使用したところ
治療時間は30分もかからずに右足首と右足趾が左と変わらず動くようになりました
また仰向けで足を上げた際に診察時は30度ぐらいから
ほぼ90度近くまで上がるようになりました。
その後立位になると殆どふらつかずに自力で立っていられるようになり、
介助なくひとりで普通に歩けるようになりました。
おまけにはっきりと喋れなかったのが、少し言葉を滑舌よく喋れるようになりました。
本人は、まさかこんなに良くなるとは思わずとても驚かれ、24年ぶりに歩けたと言われていました。
一緒に来られていたお母さんも大変驚かれ
「今までは何だったのでしょうか?奇跡です!」と言われていました。
このようなことは、妙見活法にしか出来ないことです。究極の自然療法です。
これからも困っている患者さんを救済し、驚くような結果をもっともっと多く出せるように精進します。
まとめ
現在多くの治療院が活法整体をメニューに取り入れています。
明治期以降様々な流派が派生し、本来の日本古武道由来の活法とは違う系統も活法整体に含まれているのが事実です。
江戸期以前からの存在が確認できる流派には、楊心流柔術、竹内流捕手腰廻小具足、桓武月辰流柔術、関口流柔術などがあります。
現在ではほとんどの流派が殺法である柔術と活法を切り離し、残念な事に活法の継承は衰退してきました。
正伝妙見活法協会では1000年以上に渡り口伝とされてきた妙見活法整体を桓武月辰流第24代宗家である、千葉吉胤妙星司家より毎月公開していただいています。
これは千葉司家が我々の三大目的である「技術の確立」「経営の安定」「救済の実践」にご賛同いただいたために実現しました。
その活法整体がどの流派の流れから来ているのか調べるのも、真に日本古武道伝承である活法整体を学ぶためには必要な事だと言えるでしょう。

活法と殺法
正伝妙見活法協会 事務局
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