ヘルニアと聞いた場合、腰の病気をイメージされる方も多いですが、実は頚椎(首)にもヘルニアができることがあります。
頚椎にヘルニアが生じると上半身だけでなく、下半身にも不調を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
本記事では頚椎椎間板ヘルニアの原因や治し方、予防法、やってはいけない動作などについて徹底解説します。
手術をする前に知っておきたいことも紹介していますので、病院で手術を勧められた方は参考にしてください。
Contents
頚椎椎間板ヘルニアとは
ヘルニアとは本来、体内の臓器が本来あるべき位置から逸脱した状態を意味します。
頚椎(首の骨)は7つありますが、第2頚椎から第7頚椎の間にはそれぞれ椎間板があります。
椎間板の役目は、クッションのように首にかかる衝撃を吸収することです。
ところが、何らかの原因により椎間板に偏った圧が加わると、中から髄核(ずいかく)と呼ばれる組織が飛び出して神経圧迫を起こします。
頚椎椎間板ヘルニアは第6・第7頚椎の間に起こることがもっとも多く、次に第5・第6頚椎の間に起こることが多いとされます。
参考:頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアの原因
頚椎椎間板ヘルニアの原因としては、主に以下の3つがあげられます。
- 老化
- ストレートネック
- 首に対する過度の負荷
老化
頚椎椎間板ヘルニアの原因としては老化が挙げられています。
年齢とともに軟骨がすり減ることで、頚椎椎間板ヘルニアの発症リスクが増加すると考えられています。
しかし、頚椎椎間板ヘルニアの好発年齢は30代〜50代とされているため、老化だけが原因とは言い切れないのも実情です。
参考:頚椎椎間板ヘルニア
ストレートネック
近年になり頚椎椎間板ヘルニアの原因として、ストレートネック(クレーンネック・スマホ首)が挙げられるようになっています。
頭の重さは体重の1割程度とされており、スマホを見るときに下を向くと頚椎に大きな負担がかかります。
頚椎には自然な弯曲(頚椎アーチ)があるため上下の圧には強いのですが、偏った圧がかかると椎間板から髄核が逸脱しやすくなるのです。
単なる不良姿勢であれば意識することで改善が期待できますが、骨自体が変形した場合、改善が困難となるため注意が必要です。
首に対する過度の負荷
首に対する過度の負荷も頚椎椎間板ヘルニアの原因とされています。
例えばラグビーやアメリカンフットボール、相撲などのコンタクト系の競技により首に強い負荷がかかると、ヘルニアを発症しやすいと考えられています。
また、スポーツ以外に重量物を持ち上げる仕事などでもヘルニアを発症する可能性があるため注意が必要です。
頚椎椎間板ヘルニアの症状
頚椎椎間板ヘルニアの症状は、大きく以下の4つに分類されます。
- 頚椎症状
- 神経根症状
- 脊髄症状
- 自律神経系の症状
ただし、いずれか1つの症状だけを発症するとは限りません。
また、最初は軽症であっても自分の判断で放置すると重症化する可能性があるため注意しましょう。
頚椎症状
頚椎症状は主に首や肩に見られる不調のことです。
代表的な症状としては肩こりや首から肩にかけての痛み、前胸部の痛みなどが挙げられます。
神経根症状
頚椎椎間板ヘルニアに伴う神経根症状は、上半身の左右いずれかに見られる点が特徴です。
代表的な症状としては肩甲骨から背中にかけての痛み、腕から指先にかけてのしびれ、感覚の鈍麻、可動域の制限などが挙げられます。
脊髄症状
頚椎椎間板ヘルニアにともなう脊髄(中枢神経)症状は、上半身だけでなく下半身にも及ぶ点が特徴です。
代表的な症状としては手足のこわばりや運動障害、歩行障害、排便・排尿障害などが挙げられます。
自律神経系の症状
頚椎椎間板ヘルニアにより頸椎の3番目以上の神経根が障害を受けると、自律神経系の症状が出やすくなります。
代表的な症状としてはめまいやふらつき、頭痛、耳鳴り、吐き気、目の充血や疲労などが挙げられます。
頚椎椎間板ヘルニアの治し方
頚椎椎間板ヘルニアの発症が疑われる場合、医療機関では一般的に以下の治療が行われます。
- 安静
- 装具療法
- 薬物療法
- ブロック注射
- 手術療法
- 整骨院・整体院
- 活法・妙見活法整体
安静
頚椎椎間板ヘルニアの発症に伴い強い痛みがある場合には、まず安静を言い渡されることが一般的です。
装具療法
装具療法は頸椎カラーなどを利用して首を固定し、動作に伴う痛みを抑えるための治療法です。
ただし、長期にわたり首を固定していると周囲の筋肉が緊張し、かえって回復を遅らせる可能性があるため注意が必要です。
薬物療法
頚椎椎間板ヘルニアに伴う症状を抑えるため、薬物療法が行われることもあります。
首や腕を始めとした痛みを抑えるためには、ロキソニンやボルタレン、バファリン、カロナールなどの消炎鎮痛剤が用いられます。
また、自律神経系の症状が見られる場合には、リリカやサインバルタなどの神経の薬が用いられる点も特徴です。
ブロック注射
頚椎椎間板ヘルニアに伴う症状がひどい場合には、ブロック注射を行うこともあります。
痛みが出ている場所に局所麻酔剤を注入し、過敏になっている神経を鎮静化させ、痛みのサイクルを断つことが目的です。
手術療法
上記の治療で改善が見られない場合や、日常生活に甚大な支障を来す場合には、手術療法が検討されることもあります。
主な手術法としては以下の4つが挙げられます。
術式 | 特徴 |
---|---|
経皮的内視鏡下頚椎椎間板ヘルニア摘出術(PECD) | 3.5㎜内視鏡下で2㎜小鉗子でヘルニアを摘出する。骨の変成や変形が強くない場合に有効 |
経皮的内視鏡下頚椎椎間孔拡大術(PECF) | 皮膚を7㎜~16㎜ほど切開して内視鏡を挿入し、神経の通り道を拡大する。骨の変成にともない神経圧迫を起こしている場合に有効 |
頚椎前方椎間除圧固定術(ACDF) | 皮膚を4㎝~5㎝ほど切開して椎間板を切除し、脊髄・神経根の圧迫を除去。チタン製のスペーサーで椎体を固定。上記の術式では対応できないほど骨の変成・変形が強い場合に有効 |
経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD) | 1㎜の針を挿入してレーザーでヘルニアを凝固・収縮させる。皮膚を切開する必要がなく、日帰りでの施術が可能 |
整骨院・整体院
整骨院や整体院で施術を受けることも、頸椎ヘルニアの改善法の一つです。
首や肩の筋緊張にアプローチするために揉み解したり温めたりします。
また首と繋がっている大胸筋や広背筋、鎖骨や肩甲骨周りなど広範囲に刺激して症状の緩和を促します。
その他にもストレッチや筋肉トレーニングなどによって肩甲骨周りや手首の筋肉を鍛える指導をすることもあります。
活法・妙見活法での治療
妙見活法は日本古武道の桓武月辰流柔術に伝承される手技療法です。
頸椎ヘルニアの治し方にしても妙見活法は古い歴史があり、他に類を見ない独特の治療を施します。
妙見活法の施術は痛みのある個所だけでなく、太陽神経叢・内臓諸器官・中枢、末梢神経にまで総合的にアプローチする事ができます。
これにより体内のバランスや循環が短時間で整えられ、結果として頸椎ヘルニアなどの痛みや不具合が消失するのです。
「痛みや不具合の目に見えない原因を、目に見えない速度で治す」これも妙見活法の特徴の一つです。
治療事例~50代男性 兵庫県神戸市 こうだ治療院~
主訴
- 右肘の痺れ
- 肩甲骨あたりから疼き
- 首はほぼ動かせず
- 腕の拳上30度程度
- 薬を飲んでいるが全く効かない
施術
1回目:体内のバランス法と循環の道を整える三光法道之活を施す。疼きがなくなったので終了
2回目:疼きもなく眠れたとの報告。首と腕が動かせるようになったが痺れがまだ残っていたので三光法道之活で五体五感を整える。さらに首が動かせるようになり痺れも無くなったので終了
3回目:初回の症状はほぼ消失。首を大きく動かすと痛みが残っていたので、潜在的に痛みを希釈させる三光豊受之活を施しすべて終了
結果
1回目の施術でほぼ改善していたが、また元に戻るのでは…?との不安感が強かったため3回に分けた。回数を重ねたことで結果として潜在的にも安心してもらえた。
治療院アクセス
- こうだ治療院
- 住所:〒650-0001 兵庫県神戸市加納町4-10-20 サンライズビル2F
- 電話番号:078-393-5825
頚椎椎間板ヘルニアのときにやってはいけないこと
頚椎椎間板ヘルニアの症状が出ているときにやってはいけないことを以下の項目ごとに紹介します。
- 姿勢
- 動作
- 寝方
- その他の習慣
姿勢
頚椎椎間板ヘルニアの症状が出ている場合、患部に負担がかかる姿勢を避けることが重要です。
先述したように頚椎は上下の圧には強い構造をしていますが、偏った圧には弱い傾向があります。
そのため、頭の位置が前にスライドする猫背のような姿勢は絶対に避けましょう。
机に座って頬づえをついたり、布団にうつ伏せで寝そべって本を読んだりする姿勢も頚椎に大きな負担をかけます。
また、スマホを見る姿勢も首に大きな負担をかけるため、頚椎椎間板ヘルニアの症状が出ている間はなるべく控えましょう。
動作
頚椎椎間板ヘルニアの症状が出ている場合、患部に負担がかかる動作も避けましょう。
安静にしていても痛みがあるようなら運動は厳禁です。
頭を動かしたときに痛みが出る場合は、ウォーキング程度の軽い運動に留めましょう。
いずれにせよ自分の判断ではなく、専門家の指導を仰ぐことが重要です。
寝方
頚椎椎間板ヘルニアの症状が出ているときは、うつ伏せで寝ることは避けましょう。
うつ伏せで寝ると頚椎に大きな負担がかかるため、症状を悪化させる恐れがあります。
自分の頚椎アーチに合った枕を利用し、快適な睡眠を得るようにしましょう。
その他の習慣
頚椎椎間板ヘルニアの症状が片側に出ている場合、患側にカバンをかけることは避けましょう。
リュックサックを利用する場合も背負うと頚椎に負担がかかるため、前側で持つようにすると良いでしょう。
頚椎椎間板ヘルニアの予防法
頚椎椎間板ヘルニアを予防する方法としては、主に以下の3つがあげられます。
- 姿勢を改善する
- お風呂で身体を温める
- ストレッチで身体を柔軟に保つ
姿勢を改善する
頚椎椎間板ヘルニアの多くは、首の骨への偏った圧により発症リスクが増加します。
そのため、普段から首への負担が少ない、よい姿勢を心がけることが重要です。
特にデスクワークの時間が長く、猫背気味になる傾向がある方は、次のような座り方を試してみましょう。
- 椅子の前で前かがみになり両手を両ひざに乗せる
- 前かがみの姿勢のままお尻を座面に乗せる
- 両手でひざを押しながら上半身をゆっくりと起こす
上記の手順を踏まえると、上半身に無駄な力が入っていない理想的な座り方を実現できます。
頚椎椎間板ヘルニアはもちろん、肩こりや頭痛、腰痛の予防にもつながるので試してみることをおすすめします。
お風呂で身体を温める
頚椎椎間板ヘルニアを予防するためには、お風呂で身体を温めることも重要です。
首は外気にさらされる機会が多く、冷えにより筋緊張や血行不良を起こしやすい場所です。
冷えると筋緊張により神経が圧迫されたり、首の骨が引っ張られてゆがみやすくなります。
仕事や家事が忙しい方でも、せめて週末はゆっくりとお風呂に浸かるよう心がけましょう。
ストレッチで身体を柔軟に保つ
ストレッチで身体を柔軟に保つことも、頚椎椎間板ヘルニアの予防につながります。
首や肩の筋肉はもちろん、股関節や臀部の筋肉のストレッチで柔軟に保っておきましょう。
下半身の筋肉を柔軟に保つと、上半身にかかる負担を軽減することが期待できます。
頚椎椎間板ヘルニアで手術をする前に知っておきたいこと
頚椎椎間板ヘルニアで手術を検討されている方は、次の2つのことを知っておいてください。
- 老化がヘルニアの原因とは限らない
- ヘルニアが症状を引き起こすとは限らない
頚椎椎間板ヘルニアと診断された際に、老化が原因と説明されることがあります。
ただ、頚椎椎間板ヘルニアの好発年齢は30代〜50代であり、老化だけで説明することは合理的ではありません。
また、お風呂で身体を温めた際に症状が軽減するようであれば、ヘルニアではなく筋肉や筋膜の緊張も疑われます。
手術は最後の手段に取っておき、まずはその他の治療や施術を試してみることをおすすめします。
まとめ
頚椎椎間板ヘルニアは30代〜50代に多く見られる頚部疾患で、発症すると首や肩の痛み、手のしびれなどを生じる点が特徴です。
医療機関では投薬治療やブロック注射などが行われ、改善が見られない場合には手術療法が検討されることもあります。
ただ、頚椎椎間板ヘルニアに似た症状が、筋肉や筋膜の緊張により起こることもあるため注意が必要です。
もしお風呂で温めたときに症状が楽になるようであれば、ヘルニアではなく筋肉や筋膜の緊張が原因の可能性もあります。
医療機関では筋肉や筋膜の緊張に注目することが多くないため、近くの整骨院などで相談することをおすすめします。
明らかにヘルニアにより重篤な症状が出ている場合を除き、手術は最後の手段に取っておき、まずはその他の治療や施術を試してみることがおすすめです。
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