上腕二頭筋長頭腱炎は、肩の前面に痛みを伴う怪我の一種で、スポーツ選手の中には慢性的な症状にお悩みの方も少なくありません。
また、日常の動作で上腕二頭筋長頭腱炎を発症する可能性もあるため注意が必要です。
本記事では上腕二頭筋長頭腱炎の原因や治し方(施術方法)、予防法などについて解説します。
Contents
上腕二頭筋長頭腱炎とは
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)は、いわゆる「力こぶ」を作る筋肉で、短頭筋と長頭筋の2つに分かれることから二頭筋の名が付けられています。
上腕二頭筋長頭の盛り上がっている部分を筋腹(きんぷく)といい、肩甲骨関節上結節に付着する部分を起始部、橈骨(とうこつ)粗面および尺骨の前腕筋膜に付着する部分を停止部と呼びます。
上腕二頭筋長頭腱炎は、肩甲骨関節上結節に付着する部分を起始部に炎症を起こす怪我の一種です。
上腕二頭筋長頭腱炎の主な症状
上腕二頭筋長頭腱炎を発症すると、主に以下の症状がみられます。
- 圧痛
- 動作時の痛み
- 可動域制限
- 夜間痛
- しびれ
上腕二頭筋長頭腱炎を発症した場合、腱が付着する肩甲骨関節上結節に圧痛(押すと痛みが出ること)が見られます。
また、腕をあげる動作や捻じる動作、肘を曲げる動作などに伴い痛みを生じる点が特徴です。
痛みのため腕を動かしづらくなることも少なくありません。
症状の程度によっては夜間痛やしびれが見られることもあります。
上腕二頭筋長頭腱炎の原因
上腕二頭筋長頭腱炎の主な原因としては以下の5つがあげられます。
- オーバーユース(使い過ぎ)
- 不良姿勢
- 誤ったフォーム
- 加齢
- 関節の硬さ
上腕二頭筋長頭腱炎の原因についてさらに詳しく解説します。
オーバーユース(使い過ぎ)
上腕二頭筋長頭腱炎の原因の1つが、オーバーユース(使い過ぎ)です。
特に野球の投球動作やバレーボールのスパイク、テニスのサーブなど腕を大きく振りかぶる運動を続けると、上腕二頭筋長頭腱炎の発症リスクが高くなります。
運動以外にも掃除機を掛ける動作や雑巾がけなどを繰り返すと、上腕二頭筋長頭腱炎を発症することがあります。
不良姿勢
不良姿勢も上腕二頭筋長頭腱炎の原因の1つです。
特に巻き肩の姿勢を続けると腱への負担が増すため、上腕二頭筋長頭腱炎の発症リスクが高くなります。
また、猫背の方が腕を大きく上げる運動を行うと肩関節への負担が増すため、上腕二頭筋長頭腱炎を発症しやすくなります。
誤ったフォーム
野球の投球動作やバレーボールのスパイク、テニスのサーブなどを正しいフォームでできていない場合、上腕二頭筋長頭腱炎の発症リスクが高くなります。
また、正しいフォームでダンベルウエイトなどの筋トレができていないと、肩関節への負担が増すため、上腕二頭筋長頭腱炎を発症しやすくなります。
加齢
加齢も上腕二頭筋長頭腱炎の原因の1つです。
上腕二頭筋長頭腱炎は筋肉の牽引力により発症リスクが高くなるため、ストレッチなどで筋肉を柔軟に保つことが重要です。
しかし、腱は筋肉と骨とを結ぶ場所であるため、ストレッチで緩めることが期待できません。
そのため、加齢により腱自体が衰えると、上腕二頭筋長頭腱炎を発症しやすくなります。
関節の硬さ
筋肉だけでなく関節の硬さも、上腕二頭筋長頭腱炎の原因の1つです。
例えば肩関節が硬いと、動作にともない上腕二頭筋長頭腱に大きな負担がかかります。
また、股関節が硬いと投球動作やサーブなどのときに上半身がスムーズに回転しないため、手投げ・手打ちになり肩関節への負担が増します。
上腕二頭筋長頭腱炎の治し方(施術方法)
整形外科や整骨院・接骨院・鍼灸院などでは、主に以下の治療や施術により上腕二頭筋長頭腱炎の改善に取り組んでいます。
- 安静
- 痛み止め・湿布
- 腱鞘内注射
- 電器療法
- 運動療法
- 手技治療
それぞれの上腕二頭筋長頭腱炎の治し方について解説します。
安静
上腕二頭筋長頭腱炎はスポーツ選手に多く見られる怪我の一種のため、発症が疑われる場合には安静にするよう求められます。
児童や学生に対しては、「休むのも練習の内」と親や指導者がアドバイスすることが重要です。
痛み止め・シップ
上腕二頭筋長頭腱炎にともない痛みがある場合には、痛み止め(消炎鎮痛剤)やシップを利用することもあります。
ただし、痛み止めやシップは局所の血行不良を引き起こすため、急性期の使用に留めることが重要です。
腱鞘内注射
上腕二頭筋長頭腱炎の治療法の1つが腱鞘内注射です。
痛みがあまりにも強い場合には、上腕二頭筋長頭腱の通り道である結節間溝(けっせつかんこう)にステロイド局所注射を打ち、症状の緩和を図ります。
電器療法
整骨院や接骨院などでは、低周波やマイクロ波、赤外線などさまざまな電気療法により患部の血行を促進し、上腕二頭筋長頭腱炎の改善を図ります。
近年になり整骨院・接骨院で多く採用している電気療法がハイボルト(高電圧刺激)です。
患部にハイボルトの電圧をかけると、交感神経を抑制して血行を促進し、患部の回復を早める効果が期待されています。
運動療法
上腕二頭筋長頭腱炎に伴う痛みが緩和したら、運動療法や筋力トレーニングにより、患部周辺の筋力強化や柔軟性アップを図ります。
手技療法
整体院や整骨院などでは、上腕二頭筋や肩甲骨周辺の筋肉・大胸筋などを柔らかく緩めるのが一般的です。
炎症の起こっている箇所の周囲で共同して働く筋肉軍を緩める事で、腱の負担を減らし症状の改善を目指します。
活法・妙見活法による上腕二頭筋長頭腱炎の治療法
活法とは日本古来の手技療法の1つです。
妙見活法はその中でも古い歴史があり、また独特の治療法があります。
妙見活法整体では、症状のある所は筋肉・内臓・関節を問わず、その一点に全ての負荷が集中してしまっている状態と考えます。
妙見活法を施すことで、負荷が全身に分散できる体の構造に再建築します。
細胞レベルでリセットされるので、即効性に優れているのが特徴です。
妙見活法整体による上腕二頭筋長頭腱炎の治療事例
妙見活法整体による治療事例を紹介します。
20代男性(スポーツトレーナー) 千葉県習志野市 月辰会活法整体院
主訴
- 上半身ウエイトトレーニング時に左上腕二頭筋長頭腱に痛み
- 一年前から治らず
施術
- 痛みの出る動作の直前で止めてもらい、わざと全体を不安定な体勢にする
- そのまま身体の相関関係を再構築させる「四角八方療法」を施す
- 左肩の痛み消失、可動域も広がる
- 広がった可動域のまま、身体全体を安定固定させ状態の維持をはかる
経過
- ダンベルを使用し、上半身の種目を一通り行ったが痛みも全く無いとの事
- 以降も問題なくトレーニング出来ていると、後日報告を受ける
妙見活法での治療をご希望の方、ご自身が治療技術を学びたい方は、下記より正伝妙見活法協会までお問い合わせ下さい。
上腕二頭筋長頭腱炎を発症した場合の対処法
スポーツなどに伴い上腕二頭筋長頭腱炎を発症した場合、次のように対処することがおすすめです。
- 運動後のアイシング
- 適切な休養をとる
- 患部を温める
- 痛みがある方を上にして寝る
上腕二頭筋長頭腱炎への対処法について簡単に解説します。
運動後のアイシング
上腕二頭筋長頭腱炎を発症した場合、運動後にアイシングをすると効果的です。
アイシングにより炎症の拡大を抑え、つらい痛みを感じにくくすることが期待できます。
アイスパックなどを利用して、患部を10分〜15分ほど冷やしましょう。
児童に対してアイシングを行う場合は、凍傷に気を付けることが重要です。
適切な休養をとる
上腕二頭筋長頭腱炎の多くはオーバーユースが原因のため、発症が疑われる場合には適切な休養をとることが重要です。
休養をとるといっても絶対安静にする必要はありません。
絶対安静にすると患部周辺の筋緊張を招き、返って症状の回復を遅らせる可能性があります。
無理のない範囲で日常の動作は行いましょう。
患部を温める
上腕二頭筋長頭腱炎を発症した場合、基本的には患部を温めることが第一です。
温めることで血行を促進し、患部の回復を早める効果が期待できます。
激しい痛みを伴うぎっくり腰でも、アイシングは発症から48時間が目安とされます。
上腕二頭筋長頭腱炎に関しても、アイシングは発症初期に留め、痛みが落ち着いてきたら温める方向に切り換えましょう。
痛みがある部分を上にして寝る
上腕二頭筋長頭腱炎を発症したら、痛みがある部分を上にして寝ましょう。 腕の下にクッションや抱き枕を置くと、寝ているときに患部へかかる負担を減らすことが期待できます。
上腕二頭筋長頭腱炎の予防法
いったん上腕二頭筋長頭腱炎を発症すると、スポーツを楽しめないことはもちろん、日常の動作に支障を来す可能性もあります。 そのため、普段から次のような方法で上腕二頭筋長頭腱炎を予防することが重要です。
- 上腕二頭筋のストレッチ
- 身体を冷やさない
- ウォーミングアップとクールダウン
上腕二頭筋長頭腱炎の予防法について簡単に説明します。
上腕二頭筋のストレッチ
上腕二頭筋長頭腱炎を予防するためには、筋肉や関節をストレッチで柔軟に保つことが重要です。
おすすめは上腕二頭筋のストレッチです。
- ヨガマットを敷きパイプ椅子などを置く
- ヨガマットに両膝を立てて座る
- 右手を真直ぐ後ろに伸ばしパイプ椅子の座面に載せる
- 右の手の平を下に向け、力こぶを伸ばすイメージでストレッチする
- 30秒経ったら反対側も同様にストレッチする
ストレッチはお風呂で身体を温めてから行うと効果的です。
強い痛みが出る場合は中止して、しばらく休むようにしましょう。
身体を冷やさない
上腕二頭筋長頭腱炎を予防するためには、普段から身体を冷やさないことが重要です。
身体の冷えにより筋肉が硬くなると、少しの負荷で筋線維が断裂しやすくなるためです。
ウォーミングアップとクールダウン
ウォーミングアップとクールダウンも、上腕二頭筋長頭腱炎の予防には欠かせません。
運動前はストレッチではなく、ランニングなどで身体を温めるようにしましょう。
ストレッチで筋肉を緩めてしまうと、かえって怪我のリスクを高めます。
運動後はストレッチを行い、翌日に疲労や筋肉痛を残さないようにしましょう。
適切な対処で上腕二頭筋長頭腱炎の早期回復を図りましょう
上腕二頭筋長頭腱炎を発症すると強い痛みが見られるものの、予後は比較的良好で手術が必要な例も少ないとされます。
スポーツを長く楽しむためにも、本文で紹介した方法で上腕二頭筋長頭腱炎に適切に対処し、早期回復を図ることがおすすめです。
また治療家の方で、妙見活法整体の技術に興味のある方は、セミナーやDVDによる学習もサポートしております。
無料サンプル動画などもご用意しておりますので、お気軽にお申し込み下さい。