腰痛は日本人の国民病とも言える疾患で、男性では健康上の1番の悩み(女性は肩こりに次いで2番目の悩み)とされています。
しかし、腰痛を訴えて病院で検査を行った方の中には、原因不明と診断されてお困りの方もいるでしょう。
実は、検査で原因不明とされる場合は、筋筋膜性腰痛を発症している可能性が疑われます。
本記事では筋筋膜性腰痛の原因や治療法、予防法などについて解説します。
Contents
筋筋膜性腰痛とは
筋筋膜性腰痛は、何らかの原因により筋肉や筋膜が傷つくことで痛みを生じる腰部疾患の1つです。
筋肉は筋線維の束からできており、腰部の筋線維が傷つくと筋筋膜性腰痛を発症しやすくなります。
筋膜は筋肉だけでなく、腱や靱帯、血管、神経、臓器などをくまなく覆うことから、第二の骨格とも呼ばれています。
筋膜は5層構造となっており、それぞれの膜は滑る(滑走する)ことが特徴です。
筋膜が滑ることで筋肉は効率よく働きますが、何らかの原因で腰部の筋膜が硬くなると、筋肉への負担が増大して筋筋膜性腰痛を発症しやすくなるのです。
筋筋膜性腰痛の主な症状
筋筋膜性腰痛の主な症状は以下の2つです。
- 可動痛
- 圧痛
可動痛
筋筋膜性腰痛の症状の1つが可動痛です。
何らかの動作により傷ついた筋線維が刺激されると、疼痛(うずくような痛み)を引き起こしやすくなります。
また、筋膜の滑りが悪くなっていると筋肉への負担が増大し、動作に伴う痛みが出やすくなります。
圧痛
圧痛(あっつう)も筋筋膜性腰痛の症状の1つです。
筋肉もしくは筋膜が緊張している場所を押すと痛みが出る傾向にあります。
筋筋膜性腰痛のメカニズム
筋筋膜性腰痛にともなう痛みが出るメカニズムは以下の通りです。
- 何らかの原因により筋肉や筋膜が緊張して硬くなる
- 硬くなった筋肉や筋膜により血管が圧迫される
- 血流の悪化により疲労物質が蓄積する
- 疲労物質の蓄積により炎症が起こり痛みを発する
通常であれば血液の流れとともに疲労物質は体外へと排出されます。
しかし、血管の圧迫により血流が阻害されると、疲労物質が排出されにくくなります。
その結果、筋筋膜性腰痛は慢性化しやすくなるのです。
筋筋膜性腰痛の主な原因
筋筋膜性腰痛の主な原因としては以下の3つが挙げられます。
- 筋肉や筋膜への過剰な負担
- オーバーユース
- 長時間の同一姿勢・不良姿勢
筋肉や筋膜への過剰な負担
筋筋膜性腰痛の原因の1つが、筋肉や筋膜への過剰な負担です。
スポーツ中の動作で過剰な負担が筋肉にかかると、筋線維の断裂に伴い筋筋膜性腰痛を発症しやすくなります。
日常生活中に起こるぎっくり腰も、筋肉や筋膜への過剰な負担により発症リスクが高くなると考えられています。
オーバーユース
オーバーユース(使い過ぎ)も、筋筋膜性腰痛の原因の1つです。
例えば野球やテニスのスイングを過度に繰り返すと、腰部の筋肉や筋膜の緊張を招き、筋筋膜性腰痛を引き起こしやすくなります。
長時間の同一姿勢・不良姿勢
長時間の同一姿勢や不良姿勢も、筋筋膜性腰痛の原因の1つです。
長時間に渡り同じ姿勢を続けると、筋膜の緊張により「滑り」が悪くなります。
結果として筋肉の働きが低下するため、筋筋膜性腰痛を引き起こしやすくなります。
不良姿勢も筋膜の滑りを悪くして、筋筋膜性腰痛を引き起こす原因の1つです。
筋筋膜性腰痛と他の疾患の見分け方
筋筋膜性腰痛と他の疾患を見分けるには、以下の症状を伴うかどうか確認しましょう。
- しびれ
- 排便・排尿障害
- 筋力低下
- 感覚鈍麻
- 歩行障害
しびれ
筋筋膜性腰痛の特徴は、原則として腰部の痛みだけが見られることです。
しびれが見られる場合には、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、他の腰部疾患を発症している可能性があります。
排便・排尿障害
排便・排尿障害が見られる場合、重度の腰椎椎間板ヘルニアの可能性が疑われます。
腰痛に伴い排便・排尿障害が見られる場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
筋力低下
腰痛に伴い筋力の低下が見られる場合は、筋筋膜性腰痛以外の腰部疾患の可能性が疑われます。
特に下肢の脱力感が見られる場合などは注意が必要です。
ただし、慢性的な運動不足や加齢による筋力の低下の場合はこの限りではありません。
感覚鈍麻
腰痛に伴い感覚鈍麻が見られる場合、神経系に異常が生じている可能性も疑われます。
足先を触って感覚が鈍いような場合は、速やかに専門医の診察を受けましょう。
歩行障害
歩行障害が見られる場合、腰部脊柱管狭窄症などを発症している可能性が疑われます。
特に中高年以降の方は注意が必要です。
原則として筋筋膜性腰痛の場合には痛み以外の症状が見られません。
上で説明した症状をともなう場合には、速やかに医療機関で検査を受けるよう心がけましょう。
筋筋膜性腰痛の治療法・施術法
筋筋膜性腰痛を発症した場合、主に次のような治療もしくは施術で改善を図ることが一般的です。
- 薬物療法
- 温熱療法
- 電気治療
- 装具療法
- リハビリ(機能回復訓練)
- 整骨院や整体院での施術
薬物療法
筋筋膜性腰痛を発症した場合、医療機関では薬物療法による改善を図ることが一般的です。
急性の筋筋膜性腰痛に対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が推奨されています。
慢性の筋筋膜性腰痛に対しては、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬や、弱オピオイドの使用が推奨されています。
かつては慢性の筋筋膜性腰痛に対して抗うつ薬が処方されることもありましたが、現在ではあまり推奨されていません。
筋筋膜性腰痛の改善に用いられる医薬品はさまざまなため、自己判断ではなく医師や薬剤師に相談することが重要です。
温熱療法
慢性の筋筋膜性腰痛に関しては、温熱療法が効果的とされています。
患部を温めて血行を促進することで、蓄積した疲労物質が体外へと排出されやすくなるためです。
急性の筋筋膜性腰痛に関しては一時的にアイシングを行うこともあります。
しかし、発症から48時間が経過したら温める方向に切り替えることが推奨されています。
電気治療
筋筋膜性腰痛に関しての治療法としては電気治療も挙げられます。
低周波や干渉波、マイクロ波、赤外線、超音波、ハイボルトなどが主な電気治療法です。
装具療法
急性の筋筋膜性腰痛を発症した場合、コルセットを着用するなど装具療法を行うケースもあります。
コルセットなどで腰や骨盤を適度に圧迫すると、動作に伴う痛みを軽減することが期待できます。
ただし、長期間の使用は筋力の低下を招く可能性もあるため、長くても2週間〜3週間以内に留めるよう推奨されています。
リハビリ(機能回復訓練)
リハビリ(機能回復訓練)も、筋筋膜性腰痛に対する治療法の1つです。
かつては急性の筋筋膜性腰痛を発症した場合、安静にすることが一番と考えられていました。
しかし、近年の研究により安静が必ずしも急性の筋筋膜性腰痛からの回復を早めないことが分かってきています。
そのため、整形外科などでは症状の回復を早める目的でリハビリを行うことが一般的です。
整骨院や接骨院などでは、リハビリに似た機能回復訓練が行われることもあります。
整骨院や整体院での施術
整骨院や整体院で施術を受けることも、筋筋膜性腰痛の改善法の1つです。
手技などにより筋肉や筋膜の緊張を取り除くと、症状を根本から改善することが期待できます。
また、適切な姿勢矯正の施術を受けると、腰にかかる負担を軽減する効果も期待できます。
活法・妙見活法での治療
活法は日本古来の手技療法です。
その中でも妙見活法は1000年以上に渡り症状の解決に特化し、研究・研鑽されてきた歴史があります。
妙見活法の特徴の一つに「トランス状態にして脳をリセットさせる」方法があります。
これは激しい痛みを経験した故に発生する恐怖心や不安感をなくしてスムーズな動作に導くための操作法であり、痛みの早期解決にとても有効です。
身体の機能を一時的に停止させ、再起動をすることで正しい動作への回路が動き出す。
コンピュータであっても機能が低下してフリーズした場合には再起動することで正しい動作に回復します。
妙見活法は自然界の法則、物理的な原理に通じる考え方になっています。
治療事例①
40代男性 ドライバー 愛知県豊橋市「豊橋薬師活法整体院」
主訴
- 自動車運転激務のため、1か月ほど前に急逝筋膜腰痛(ギックリ腰)を患う
- 完治前に再度同じ箇所を痛めるのを2回繰り返す
- 来院時にはある程度回復している様子
- 長く同じ姿勢をしていると痛みが生じてくる
- 後屈検査で可動域がとても狭く、背部全体の硬直が強い
- 「またピキッとやってしまいそう」と動作不安あり
施術
- 立位にて肩甲骨から肩までを、身体の秩序を整える三光法道之活の手で触た状態で動いてもらい強張りを緩める
- 背部から腰にふて、しゃがんで立つ動作を一緒にする
- ここまでで後屈動作では可動域がいきなり広がり、本人も驚いている様子
- 動作の限界に行くと痛みが出るので、先ほどより上部に触れ、しゃがんで立つ動作を再度行う
結果
- その後の動作確認では可動域もさらに広がり、痛みも無く終了
- 患者さんから驚きと喜びの「お~っ!」の声と笑顔が出る。
上半身が軽くなって楽になった事を、来院時よりも身長が伸びたのでは?と思うほど背筋がピンとして話されていました。
翌日も「とても楽です。腰を使う事への恐怖心もかなり薄くなりました。」と報告がありました。
治療事例②
50代男性 千葉県習志野市「月辰会活法整体院」
主訴
- 1週間前に空手の稽古中、蹴りの動作で腰に痛み発生
- 以後身体を左右に捩じる・左右の蹴りを出すと腰の筋肉が痛くなるので来院
施術
不具合のある個所は骨格の位置・筋肉の位置・神経伝達など様々な内部秩序の乱れと考え、秩序を整列させる三光法道之活を施す。
結果
- 体幹の捩じり動作でも腰の問題は消失
- 左右の蹴りも腰の痛みは出ず
- どの体勢で腰に痛みが出たのかもすっかり忘れてしまったとの事で終了
自分でできる筋筋膜性腰痛の改善・予防法
自分でできる筋筋膜性腰痛の改善・予防法としては、以下の5つの方法が挙げられます。
- お風呂で身体を温める
- 質の良い睡眠をとる
- ストレッチに取り組む
- 姿勢を改善する
- 体幹を安定させる
お風呂で身体を温める
自分でできる簡単な筋筋膜性腰痛の改善・予防法の1つがお風呂で身体を温めることです。
お風呂で身体を温めると筋肉や筋膜の緊張がほぐれ、血液の循環を促進することが期待できます。
また、温かいお風呂でリラックスすると副交感神経が優位に傾き、身体の回復力を高める結果につながります。
質の良い睡眠をとる
自分でできる筋筋膜性腰痛の改善・予防法としては、質の良い睡眠をとることも挙げられます。
就寝中は脳の下垂体から成長ホルモンが分泌され、細胞分裂が活発化するため、損傷部位の修復が早まります。
そのため、普段から質の良い睡眠を心がけることが重要です。
睡眠の質を高めるためには、早寝早起きを意識して朝日を浴びることがおすすめです。
また、お風呂で温まってリラックスすることも、睡眠の質を高める結果につながります。
ストレッチに取り組む
筋筋膜性腰痛を改善・予防するためには、普段からストレッチに取り組むことも重要です。
ストレッチで筋肉や筋膜の緊張を解消すると、血管の圧迫が取り除かれ、疲労物質を体外へと排出しやすくなります。
特に殿筋や太ももの筋肉を積極的にストレッチすると、腰にかかる負担を軽減する効果が期待できます。
姿勢を改善する
姿勢を改善することも、自分でできる簡単な筋筋膜性腰痛の改善・予防法の1つです。
立つときは頭に付けたヒモが上から引っ張られるイメージで、上半身をまっすぐに伸ばすよう意識しましょう。
椅子に座るときは坐骨に体重を乗せ、上半身に無駄な力を入れないことがポイントです。
背もたれ付きのいすを利用している方は、浅く腰かけてもたれかからないよう注意しましょう。
体幹を安定させる
筋筋膜性腰痛を改善・予防するためには体幹(全身から両手・両足を除いた部分)を安定させることが欠かせません。
特にデスクワークにともない猫背や反り腰になる方は注意が必要です。
体幹が安定しないと骨盤が前後に傾き、腰への負担が増加します。
体幹を安定させる簡単な方法としては、プランクなどの筋トレが挙げられます。
筋トレが苦手な方の場合はヨガに取り組んだり、姿勢改善の施術を受けたりすると良いでしょう。
まとめ
病院で検査をしても異常が見つからない場合、筋筋膜性腰痛を発症している可能性が疑われます。
筋筋膜性腰痛の場合には可動痛や圧痛などが見られ、痺れや筋力の低下は伴わないことが一般的です。
筋筋膜性腰痛の多くは筋肉や筋膜の緊張によりもたらされるため、普段からストレッチなどで柔軟性を確保することが重要です。
今回ご紹介した方法を参考に、筋筋膜性腰痛の改善・予防に取り組むことをおすすめします。
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