腱板損傷(腱板断裂)は、中高年以降の男性を中心に多く見られる肩の疾患です。
上腕骨と肩甲骨とを結ぶ腱に損傷や断裂を生じることで、肩の痛みや可動制限を引き起こします。
本記事では腱板損傷(腱板断裂)の原因や治し方、やってはいけない動作などについて解説します。
Contents
腱板について
腱板損傷(腱板断裂)の症状や特徴などについて解説する前に、腱板とはそもそもどのような組織なのか知っておきましょう。
回旋筋腱板のこと
腱板は回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)やローテーターカフとも呼ばれており、肩関節の安定性と強度をもたらす役目があります。
腱板を構成する筋肉
腱板は以下4つの筋肉の腱が集まって構成されています。
- 棘上筋(きょくじょうきん)
- 棘下筋(きょくかきん)
- 肩甲下筋(けんこうかきん)
- 小円筋(しょうえんきん)
棘上筋(きょくじょうきん)
棘上筋は肩甲骨の棘上窩(きょくじょうか)と、上腕骨の大結節上端を結ぶ筋肉です。
棘上筋には三角筋(さんかくきん)とともに、肩関節を外転させる(腕を真横から上に挙げる)働きがあります。
棘上筋は肩甲上腕関節の安定性を保つために重要な筋肉でもあります。
棘下筋(きょくかきん)
棘下筋は肩甲骨の棘下窩(きょくかか)と、上腕骨の大結節中部を結ぶ筋肉です。
後述する小円筋とともに肩関を外旋(外側に捻じる動作)、および水平伸展(腕を真横に開く動作)させる働きがあります。
棘下筋は肩関節の後方への安定性を保つための重要な筋肉でもあります。
肩甲下筋(けんこうかきん)
肩甲下筋は肩甲骨の内側(裏側)と、上腕骨の小結節を結ぶ筋肉です。
肩甲下筋には肩関節を内旋(後ろ手でスライド式のドアを閉めるような動作)させる働きがあります。
四十肩や五十肩の人には肩甲下筋の緊張が多く見られます。
小円筋(しょうえんきん)
小円筋は肩甲骨の外側の上部と、上腕骨の大結節下部を結ぶ筋肉です。
小円筋には肩関節を外旋させる働きがあります。
小円筋は棘下筋とともに働くため、どちらか一方の筋力が低下した場合、他方の筋肉に大きな負荷がかかります。
肩関節の仕組みと腱板の役目
肩関節は股関節と同じく、球関節(きゅうかんせつ)という独自の構造が特徴です。
上腕骨の骨頭がけん玉のように丸くなっており、肩峰(けんぽう)と烏口突起(うこうとっき)および肩甲骨の関節窩(かんせつか)に、はまり込むような構造をしています。
腱板を構成する4つの筋肉の腱は、それぞれ肩甲骨と上腕骨を結んでいます。
腱板が正常に機能するからこそ腕を動かしたり、肩関節を安定させたりすることが可能となるのです。
腱板損傷(腱板断裂)とは
腱板損傷(腱板断裂)は何らかの原因により、先述の筋腱が損傷もしくは断裂するケガの一種です。
腱板損傷と腱板断裂の違い
腱板損傷と腱板断裂には明確な違いはなく、しばしば同義語として用いられています。
四十肩・五十肩との違い
発症すると腕が上がりにくくなる点では、腱板損傷(腱板断裂)と四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は似通っています。
しかし、腱板損傷(腱板断裂)の場合は、介助があると腕を上げられることが一般的です。
一方、四十肩・五十肩の場合は、介助の有無に関わらず腕を上げられないことが珍しくありません。
発症年齢と男女比
腱板損傷(腱板断裂)の発症年齢は40歳以降が多く、60代でピークを迎えます。
男女比はおよそ6:4とやや男性に多い傾向が見られます。
腱板損傷(腱板断裂)の症状の特徴
- 腕を上げると途中で痛みが出る
- 就寝中に痛みが強くなる
- 肩関節が拘縮する例は少ない
- 腕に痛みを生じる事がある
- 自然治癒する事は無い
腕を上げる途中で痛みが出る
腱板損傷(腱板断裂)の特徴の1つが、腕を上げる途中で痛みが出ることです。
スーパーマーケットなどの駐車場でチケットを取るときなど、腕をまっすぐに伸ばした際に痛みが強く出る傾向にあります。
ただし、腕を全く上げられなくなることはあまり多くありません。
腱板は4つの筋腱で構成されているだけでなく、三角筋の働きもあるため、1つの筋腱が切れただけで腕が上がらなくなることは考えにくいのです。
仮に痛みのため腕がほとんど上げられない場合には、腱が大きく断裂している可能性も疑われます。
また、腱板損傷(腱板断裂)ではなく四十肩・五十肩を発症しているのかもしれません。
仮に4つの筋腱すべてが断裂した場合には、腕を全く上げられない可能性もあるでしょう。
就寝中に痛みが強くなる
腱板損傷(腱板断裂)の症状としては、就寝中に痛みが強くなることもあります。
ただし、四十肩・五十肩の急性期にも夜間痛を生じるため鑑別が重要です。
就寝中に痛みが強くなる理由としては、副交感神経が優位に傾き血行が良くなることや、寝るときの姿勢による肩への負担などが挙げられます。
肩関節が拘縮する例は少ない
腱板損傷(腱板断裂)の特徴として、肩関節が拘縮(こうしゅく)する例は少ないこともあります。
関節自体が硬くなるわけではないため、腱板損傷(腱板断裂)の場合は反対の手で支えるなどすると腕自体は上がります。
似たような症状が見られる四十肩・五十肩は凍結肩と言われることもあるように、肩関節自体に拘縮が見られます。
そのため、反対の手で支えても痛みのために腕を上げることが困難です。
腕に痛みを生じる事がある
腱板損傷(腱板断裂)を発症した場合、腕に痛みを生じることがあります。
腕に痛みを生じる理由についてはよく分かっていませんが、神経経路が何らかの形で関わっているのではないかと考えられています。
治療の開始を遅らせないためにも、腱板損傷(腱板断裂)では腕に痛みが出ることもあると覚えておきましょう。
自然治癒する事は無い
腱板損傷(腱板断裂)の症状ですが、原則として自然治癒することはありません。
似たような症状が見られる四十肩・五十肩に関しては、時間の経過とともに自然治癒するケースも見られます。
ただし、自然治癒しないことと、痛みが消失しないこととは別問題です。
実際に、腱板損傷(腱板断裂)を引き起こしている3人に2人が、特に症状を感じていない(無症候性)といった報告も見られます。
ヘルニアなどと同じように、画像診断で腱板損傷(腱板断裂)の所見があったとしても、痛みがあるとは限らないのです。
腱板損傷(腱板断裂)の原因
腱板損傷(腱板断裂)の主な原因は以下の5つです。
- オーバーユース
- 外傷
- 加齢
- 生活習慣病
- 不良姿勢
オーバーユース
腱板損傷(腱板断裂)の原因の1つが、オーバーユース(使い過ぎ)です。
例えば野球の投球動作やバレーボールのスパイク、バドミントンのスマッシュなどを繰り返すと、腱板に大きな負荷が掛かり損傷や断裂のリスクを高めます。
また、スポーツ以外にも重い荷物を持ち上げる動作などを繰り返した場合、腱板損傷(腱板断裂)の発症リスクが高くなります。
オーバーユースによる腱板損傷(腱板断裂)の特徴は、いつ発症したか明確ではない点です。
外傷
腱板損傷(腱板断裂)の多くはオーバーユースにより発症しますが、外傷が原因となるケースもあります。
運動中に肩をぶつける場合はもちろん、日常生活でも道路で転倒して手を付いたときなどに、腱板の損傷や断裂を引き起こすことがあります。
外傷による腱板損傷(腱板断裂)の場合は、瞬間的に強い痛みを生じる点が特徴です。
加齢
加齢も腱板損傷(腱板断裂)の原因の1つです。
腱は年齢とともに衰えるため、若い方に比べると少しの衝撃で損傷・断裂する可能性が高くなります。
腱板損傷(腱板断裂)の発症が60代でピークを迎えるのは腱の衰えに加え、高齢の方に比べると身体を動かす機会が多いためと考えられます。
生活習慣病
生活習慣病も腱板損傷(腱板断裂)の原因の1つです。
例えば脂質異常症(高脂血症)や糖尿病などが原因で肩へと送られる血液量が減少すると、腱の衰えを招きやすくなると考えられます。
また、喫煙も毛細血管の収縮を招くため注意が必要です。
不良姿勢
不良姿勢も腱板損傷(腱板断裂)の発症リスクを高める原因の1つです。
特に巻き肩の方が投球動作やテニスのサーブなどを繰り返すと、腱板にかかる負担が大きくなるため腱板損傷(腱板断裂)の発症リスクを増します。
腱板損傷(腱板断裂)の診断方法
腱板損傷(腱板断裂)の主な診断方法は以下の6つです。
- ドロップアームテスト
- インピンジメントテスト
- 疼痛誘発検査
- レントゲン
- MRI
- 超音波
ドロップアームテスト
腱板損傷(腱板断裂)の簡単な診断方法の1つがドロップアームテストです。
ドロップアームテストをおこなう場合、まず検査をする人が患者の腕を支えて真っすぐ横に伸ばします。
次に患者にゆっくりと腕を下ろしてもらいます。
患者が自力で支えられずに腕を急激に下ろすようであれば発症が疑われるでしょう。
インピンジメントテスト
インピンジメントテストは、腕を上げる際に腱板と烏口肩峰靭帯などの衝突があるか確認することが目的です。
腱板と烏口肩峰靭帯などの衝突がある場合には、腕を上げる際の痛みが見られます。
痛みがあるからといって腱板損傷(腱板断裂)を発症しているとは限りませんが、衝突を繰り返すことで発症リスクが高くなります。
疼痛誘発検査
疼痛誘発検査は、腱板を構成する棘上筋腱の損傷を確認する方法の1つです。
患者の腕を斜め45度に上げた状態で、検査をする人が押さえて抵抗を掛けます。
抵抗に逆らって腕を上げる際に痛みが見られる場合、棘上筋腱の損傷もしくは断裂が疑われます。
レントゲン
肩の痛みを訴えて医療機関を受診した場合、始めにレントゲンを撮ることが一般的です。
レントゲンは骨折などの有無を確認する画像診断のため、腱の損傷や断裂は鑑別できません。
しかし、腱板損傷(腱板断裂)を発症している場合、骨棘(こつきょく)が見られたり、関節の隙間が狭く見えたりすることもあります。
MRI
腱板損傷(腱板断裂)の診断に最も効果的とされる画像診断がMRI(磁気共鳴画像)検査です。
レントゲンには写らない腱の損傷や断裂も、MRIであれば確認することが可能です。
また、損傷や断裂の程度もMRIで確認できるため、治療の方針を立てる際にも役立ちます。
超音波
超音波も腱板損傷(腱板断裂)の診断方法の1つです。
超音波による検査で、腱の腫れや断裂の様子を確認することが可能です。
また、モニターに映しながら検査できるため、患者も視覚的に分かりやすいといったメリットがあります。
腱板損傷(腱板断裂)でやってはいけないこと
腱板損傷(腱板断裂)を発症した場合、以下の動作や行動は避けるようにしましょう。
- 重い物を両手で顔の近くに持ち上げる
- 頭の後ろで重い物を持つ
- 高い場所から重い物を下ろす
- 肩関節の回旋をともなうハードな筋トレ
重い物を両手で会の近くに持ち上げる
腱板損傷(腱板断裂)を発症した場合、重い物を両手で顔の近くに持ち上げる動作は避けましょう。
両手で顔の前に持ち上げる際には肩関節が内旋します。
肩関節が内旋した状態で重い物を持ち上げると、腱板が上腕骨と烏口肩峰靭帯の間に挟まれるため症状を悪化させてしまいます。
頭の後ろで重い物を持つ
腱板損傷(腱板断裂)を発症した場合には、頭の後で重い荷物を持つことも避けましょう。
頭の後で重い物を持つ際には肩関節が外旋します。
肩関節の外旋は腱板に大きな負担をかけ、症状の回復を遅らせるため注意が必要です。
高い場所から重い物を下す
高い場所にある重い物を下ろす動作も、腱板損傷(腱板断裂)の場合に避けるべきことの1つです。
基本的に腕を大きく上に上げる動作は、肩関節に大きな負担を強いる傾向にあります。
症状の回復を遅らせるだけでなく、強い痛みにもつながるため注意が必要です。
肩関節の回旋をともなうハードな筋トレ
腱板損傷(腱板断裂)を発症した場合は、肩関節の回旋を伴うハードな筋トレは禁物です。
肩関節の安定や筋力アップには筋トレが欠かせませんが、始めはゴムバンドなど負荷の小さな運動から始めることが基本です。
腱板損傷(腱板断裂)の治し方
腱板損傷(腱板断裂)の主な治し方は以下の通りです。
- 安静
- 薬物療法
- ステロイド局所注射
- リハビリ
- 手術
- 手技療法
安静
腱板損傷(腱板断裂)の多くはオーバーユースにより発症しますが、外傷が原因の場合は安静にすることが求められます。
三角巾などを用いて固定した場合、およそ70%のケースで症状の軽減が見られます。
参考:肩腱板断裂
薬物療法
腱板損傷(腱板断裂)の症状を軽減する目的で、薬物療法を行うことがあります。
非ステロイド性消炎鎮痛剤やシップなどを利用すると炎症を抑え、痛みを緩和する効果が期待できます。
ただし、内服薬を継続的に利用すると胃への負担が増すため注意が必要です。
ステロイド局所注射
腱板損傷(腱板断裂)に伴う痛みが激しく、日常生活に支障を来す場合にはステロイド局所注射を打つがあります。
ただし、何度もステロイド局所注射を繰り返すと、周辺の組織がもろくなる恐れもあるため注意が必要です。
リハビリ
腱板損傷(腱板断裂)の回復目的でリハビリが行われることもあります。
通常の筋トレなどは返って患部への負担が増すため、強度の低いチューブトレーニングなどから始めることが一般的です。
手術
上記の治療により症状の改善が見られない場合には、手術療法が検討されることもあります。
近年では内視鏡下で手術をすることが一般的となっており、傷が小さいため治りが早いといったメリットがあります。
断裂の程度がひどい場合には、人工関節置換術が行われることもあります。
手技療法
整体院や接骨院・鍼灸院では、まず痛みの酷い場合はアイシングや電器療法・鍼治療を行い場合によっては固定をします。
症状が落ち着いてからは温熱療法等を併用しながら、ストレッチやトレーニングなどで徐々に機能を回復させます。
活法・妙見活法による治療法
活法とは日本古来の手技療法です。
妙見活法はその中でも特に古い歴史があり、他に類を見ない独特の治療法です。
妙見活法の特徴の一つに、患者さん自身の治癒能力を最大に引き出す方法があります。
それは身体の連動性を始めとする相関と言うものを重要視しているからです。
いわゆる血行障害や動作制限なども全て身体の連動性の狂いと捉えるので、不具合の起こる箇所の動きを他のパーツで速やかに補えるように調整をします。
その結果、無理なく速やかに結果を出せるのです。
治療事例 50代男性 千葉県習志野市「月辰会活法整体院」
主訴
- 2年前より右肩の痛み
- ウエイトトレーニング拳上種目にて痛みが顕著に表れる
施術
- 痛みの出やすい体勢を取り、「四角八方療法」で不安定状態からのリセットを図る
- 痛みが軽減し、可動域が広がる
- 可動域の広がった状態から、逆に安定状態へ固定維持させる
経過
- 上半身のウェイトトレーニングが痛みで2年間満足に出来なかったが、治療後からは納得のいくトレーニングが出来るようになったとの報告を受ける
妙見活法での治療をご希望の方、ご自身が治療技術を学びたい方は、下記より正伝妙見活法協会までお問い合わせ下さい。
腱板損傷(腱板断裂)の予防方法
腱板損傷(腱板断裂)はどちらかというと「気が付いたら発症していた」ケースが多く、発症を未然に防ぐことは困難といえます。
しかし、普段から以下の点に注意すれば、腱板損傷(腱板断裂)の発症リスクを下げることが期待できます。
- ストレッチで筋肉を柔軟に保つ
- 違和感がある時は休む
- 正しいフォームを身につける
- 不良姿勢を改善する
- 無理の無い範囲で肩まわりの筋トレを行う
ストレッチで筋肉を柔軟に保つ
腱は筋肉が骨に付着する場所のため、筋肉が硬いと牽引力により腱板損傷(腱板断裂)を発症しやすくなります。
そのため、普段からストレッチで腱板につながる4つの筋肉をストレッチで柔軟に保つことが重要です。
運動をする方の場合は、ストレッチで股関節の柔軟性をアップさせると、肩関節にかかる負担を減らすことが期待できます。
違和感がある時休む
仕事や運動にともない肩の痛みや違和感がある場合には、お風呂などで温めてゆっくりと休むよう心がけましょう。
筋緊張であれば休養により回復が期待できますが、いったん腱が骨から外れると、自然治癒は期待できないため注意が必要です。
正しいフォームを身につける
肩関節をよく使う運動をする方は、正しいフォームを身につけるよう意識しましょう。
特に投球動作の繰り返しは肩関節へ大きな負担を掛けます。
自己流ではなく専門のコーチなどの指導を受けることがおすすめです。
不良姿勢を改善する
不良姿勢を改善することも、腱板損傷(腱板断裂)の予防につながります。
特に巻き肩は肩関節への負担を増すため、日常的にスマホを長時間見る方は注意が必要です。
無理の無い範囲で肩まわりの筋トレを行う
腱板損傷(腱板断裂)を予防するためには、無理のない範囲で肩まわりの筋トレを行うことも重要です。
年齢とともに腱が衰えることは避けられないため、周囲の筋肉を鍛えて腱をサポートする必要があります。
ただし、無理な筋トレはかえって発症リスクを高めるため、専門家の指導を仰ぐよう心がけましょう。
腱板損傷(腱板断裂)に関してよくある質問
腱板損傷(腱板断裂)に関しては以下の質問が多く寄せられています。
- 治療せずに放置したらどうなりますか?
- 手術をしなくても治りますか?
- 手術によってどれくらい改善しますか?
- 手術をする場合の入院期間はどれくらいですか?
- 何歳まで手術を受けられますか?
- 再発の可能性はありますか?
- 治療はいつまで続ければいいのでしょうか?
治療せずに放置したらどうなりますか?
腱板損傷(腱板断裂)を治療せずに放置した場合、次の3つのパターンが考えられます。
- 自然修復
- 現状維持
- 断裂拡大
腱板損傷の程度がそれほどでもない場合には、稀ではありますが自然修復する可能性があります。
また、良くも悪くもならず現状を維持するケースもあります。
ただ、多くのケースで断裂の拡大が起こるため、早期に治療することがおすすめと言えるでしょう。
手術をしなくても治りますか?
治るという意味を元の状態に戻ると捉えるのであれば、手術をせずに治ることはありません。
しかし、損傷の程度や筋トレの成果によっては、症状を感じなくなる可能性はあります。
ただ、加齢にともなう腱の衰えは避けられないため、予防のためのストレッチや筋トレは継続する必要があります。
手術によってどれくらい改善しますか?
手術で腱板損傷(腱板断裂)の症状がどれくらい改善するかに関しては、個人差があるというほかありません。
ただ、多くの研究で2年後には痛みや肩の動きが改善すると報告されています。
また、手術をしなかった場合と比べ、10年後の状態は良好とされています。
参考:腱板損傷(腱板断裂)
手術をする場合の入院期間はどれくらいですか?
腱板損傷(腱板断裂)の手術は最短で日帰り、人工関節置換術の場合は2週間から4週間の入院を要します。
内視鏡下での手術の場合は傷口が小さいため翌日には退院も可能です。
断裂の程度が重い場合には再受傷を防ぐため、一定の期間入院した上で患部の管理を徹底します。
何歳まで手術を受けられますか?
腱板損傷(腱板断裂)の手術は身体への負担が比較的少ないため、基本的には何歳でも受けられます。
全身麻酔が困難なほどの病気を抱えている場合は、手術ではなく保存療法をおこなうことが一般的です。
再発の可能性はありますか?
仮に手術をおこなったとしても、腱板損傷(腱板断裂)を再発する可能性はあります。
部分的な損傷や中等度の断裂の場合はおよそ4%から10%の再発率、重症例の場合はおよそ28%から40%の再発率となっています。
参考:腱板損傷(腱板断裂)
治療はいつまで続ければいいのでしょうか?
腱板損傷(腱板断裂)には基本的に完治という概念がありません。
そのため、自分なりのゴールを設定して治療を続けるなり、予防に切り替えるなど考える必要があります。
例えば日常生活で感じる痛みを取り去りたい方と、プロ野球選手とではゴールが異なるのは当然といえるでしょう。
治療をいつまで続けるかは、担当医と相談の上で決定することがおすすめです。
腱板損傷(腱板断裂)は早期治療で改善を図りましょう
腱板損傷(腱板断裂)はそれほど珍しい疾患ではなく、高齢になるほど有病率が高くなります。
多くは腕の使い過ぎで発症しますが、外傷が原因となるケースもあります。
損傷や断裂の程度がひどいほど再発率が高くなるため、軽症のうちに治療を始めることが重要です。
本記事を参考に腱板損傷(腱板断裂)の原因を知り、早期に対処・予防することをおすすめします。
また妙見活法整体の治療技術を学びたい方、治療技術に興味のある方は無料動画プレゼントもございます。
どうぞお気軽にお申し込み下さい。