四十肩・五十肩はある日突然のように発症し、夜も眠れないほどの激しい痛みに襲われる点が特徴です。
時間とともに症状が変化する四十肩・五十肩に対しては、正しく対処する必要があります。
本記事では四十肩・五十肩の原因や時期別の症状、対処法や治療法などについて解説します。
四十肩・五十肩の再発を予防する方法も紹介しているので是非参考にしてみてください。
Contents
四十肩・五十肩とは
四十肩・五十肩は、肩こりやぎっくり腰などと同じく病名ではありません。
医学的には肩関節周囲炎と呼ばれる疾患群です。
肩関節は上腕骨骨頭が肩甲骨の関節窩にはまり込む構造をしているため、股関節と並び人体の中でも可動域が広くなっています。
しかし、球状の骨頭が関節窩にはまり込む肩関節は不安定な点も特徴です。
不安定な肩関節は周囲にある多くの筋肉や腱、靭帯といった軟部組織に支えられています。
ところが、何らかの原因により軟部組織に損傷を負い、炎症を起こすと四十肩・五十肩特有の症状が現れます。
四十肩・五十肩が進行すると、肩や腕を動かすのも困難なフローズンショルダー(凍結肩)に移行する恐れもあるため注意が必要です。
四十肩・五十肩の原因
四十肩・五十肩の原因は、医学的に明確にされていません。
一説には老化に伴い肩まわりの筋肉や腱が硬くなり、スムーズに動かなくなるためと説明されることがあります。
しかし、年齢を重ねても何も症状が出ない方もいるため、加齢だけが四十肩・五十肩の原因とは断言できません。
【時期別】四十肩・五十肩の主な症状
四十肩・五十肩の症状は時期によって変化が見られます。
急性期・慢性期・回復期に分けて四十肩・五十肩の主な症状を紹介します。
急性期の主な症状
四十肩・五十肩を発症して2週間ほど急性期が続きます。
四十肩・五十肩の急性期は炎症期とも呼ばれており、肩まわりの激しい痛みや熱感を生じる点が特徴です。
急性期の代表的な症状が安静時痛および夜間痛です。
発症初期には安静にしていても肩まわりがズキズキとうずくように痛むだけでなく、痛みのために寝られないことも珍しくありません。
慢性期の主な症状
慢性期になると急性期のような安静時痛や夜間痛は見られなくなりますが、肩や腕を動かしたときに痛みが出やすい傾向にあります。
また、肩関節を動かす際に引っかかりが生じたり、関節の可動域が狭くなったりします。
四十肩・五十肩の慢性期を拘縮期と呼ぶことがあるのもそのためです。
慢性期は四十肩・五十肩の発症から6ヶ月ほど続くのが一般的です。
回復期の主な症状
四十肩・五十肩の発症からおよそ半年が経過すると、回復期へと移行します。
回復期に入ると肩関節まわりの炎症や強い痛みは見られなくなりますが、動きの悪さが残ります。
ただし、急性期や慢性期に正しい対処を怠ると、回復期への移行が遅れる可能性もあるため注意が必要です。
四十肩・五十肩への対処法
四十肩・五十肩の症状は時期ごとに異なるため、正しく対処することが欠かせません。
ここでは時期別の四十肩・五十肩への対処法について解説します。
急性期の対処法
四十肩・五十肩の急性期には患部に強い炎症が見られるため、患部をアイスパックなどで冷やすと痛みを緩和する効果が期待できます。
夜間痛のために寝られないようであれば、一時的に痛み止めを服用する方法もあります。
寝ても覚めても痛みが続くようであれば、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。
慢性期の対処法
四十肩・五十肩の症状が慢性期に入ったら、温める方向に切り替えることが重要です。
肩を動かしたときに痛みは残りますが、いつまでも冷やしたり湿布を貼ったりしていると、血行不良により回復が遅れます。
また、慢性期の痛みがあってもある程度は肩や腕を動かすことで、症状の回復を早める結果につながります。
この時期にしっかりと肩関節を動かしておかないと、拘縮を残してしまう恐れがあるため注意が必要です。
回復期の対処法
四十肩・五十肩の症状が回復期に入ると、痛みが落ち着いてきて肩関節の可動域の制限が弱くなり少しずつ動かしやすくなっていきます。
四十肩・五十肩を発症した場合、およそ3割から5割の方が7年後になっても、何らかの痛みや可動制限といった後遺症を残すことが分かっています。
そのため、回復期には肩関節をしっかりと動かすことで、後遺症のリスクを減らすことが重要です。
一般的な四十肩・五十肩の治し方
整形外科などでの一般的な四十肩・五十肩の治し方は以下の通りです。
- 安静
- 薬物療法
- 寒冷療法
- 運動療法
- 温熱療法
- サイレント・マニピュレーション
- 手術療法
- 妙見活法での治療
安静
四十肩・五十肩の急性期には強い痛みを伴うため、安静にすることが求められます。
あまりにも痛みが激しいときには三角巾などで腕を固定し、できるだけ肩関節を動かさないようにします。
薬物療法
四十肩・五十肩の発症に伴う痛みを緩和するために、痛み止めやシップなどの薬物療法も行われます。
痛みがあまりにも激しい場合には、ステロイド剤や局所麻酔剤、ヒアルロン酸ナトリウムなどを関節内に注射するケースもあります。
寒冷療法
四十肩・五十肩の発症初期で痛みが強い場合には、寒冷療法が行われます。
整形外科などではアイスパックなどを利用して患部を冷やし、炎症を抑制して痛みを感じにくくすることが一般的です。
運動療法
四十肩・五十肩の症状を改善する目的で、運動療法が行われることもあります。
代表的な運動療法の1つが振り子運動です。
上半身を前に傾けて健側で椅子の背もたれなどをつかみ、患側の腕を前後左右にぶらぶらと20回ほどゆすります。
症状が緩和してきたら水を入れたペットボトルを持つなどして負荷を上げます。
肩関節周りに遊びを作り関節運動を円滑にすることに取り組みます。
温熱療法
温熱療法で肩関節の周りをたためて血行を促進すると、症状の回復を早める効果が期待できます。
整形外科などではホットパックを用いて患部を温めますが、自宅で湯船に浸かることも効果的です。
温熱療法は四十肩・五十肩の症状が慢性期に入ったら開始するのが一般的です。
サイレント・マニピュレーション
四十肩・五十肩の治療法として、近年になり注目されているのがサイレント・マニピュレーションです。
肩関節に局所麻酔注射を行った上で、医師が関節包の癒着を手技によって剥がす点が特徴です。
健康保険の適用対象であり、手術のように切開を伴わない点がメリットとなっています。
手術療法
上記の治療法で改善が見られない場合に、手術療法が検討されることもあります。
関節鏡などの治療機器で癒着した関節包を切り離し、肩関節の可動域を確保します。
しかし、手術療法は身体に大きな負担がかかるため、最後の手段として取っておくのがおすすめです。
活法・妙見活法での治療
妙見活法は日本古武道の桓武月辰流柔術に伝承される手技療法です。
四十肩・五十肩の治し方にしても妙見活法は古い歴史があり、他に類を見ない独特の施術をします。
妙見活法の施術は張力を利用することもあります。
単純に筋肉や腱を引っ張るのではなく、1000年に渡る永い臨床から導き出された独特な触れ方です。
この触れ方は身体の健康な細胞をより活性化させ、損傷を負った個所へのサポートを促します。
この働きにより四十肩・五十肩で痛みや可動制限の出る症状も改善されるのです。
妙見活法による治療事例~40代女性 神奈川県相模原市 ひかり整骨院~
主訴
- 半年前からの右肩の痛み
- 可動域は80度
- 拳上の途中で痛みが走る
- 洗濯物が干せない状態が続いているとのこと
施術
- 言語と仕草で施術のタイミングを合わせる
- 三光天位之活による斜張力を効かせた手で右肩周辺に独特な回転を加えながら引き上げる
- そのまま一緒に背伸び・しゃがみ動作を繰り返し、右ひじを45度に曲げた状態で右肩を挙げる
- 肘を伸ばす曲げる動作を数回繰り返す
結果
腕が耳に付くまで上がるようになる。
「整形外科では良くならなかったのに何で?」と驚かれたのち
「これで洗濯物が干せます!」と喜ばれて終了
治療院アクセス
- ひかり整骨院
- 住所:神奈川県相模原市緑区橋本5丁目13-5 道満ビル1階
- 電話番号:042-772-7222
四十肩・五十肩のときにやってはいけないこと
四十肩・五十肩を発症した場合、以下の行為は避けるようにしましょう。
- 急性期に温める
- 自己判断でのマッサージ
- 慢性期の過度な安静およびアイシング
- 患側を下にして寝る
- そのうち治るだろうと放置する
急性期に温める
四十肩・五十肩を発症したら、2週間ほどは患部を温めないようにしましょう。
発症からしばらくは強い炎症が見られるため、温めると返って症状を悪化させる恐れがあります。
自己判断でのマッサージ
四十肩・五十肩を肩こりと勘違いし、自己判断でマッサージをする方がいますが絶対に避けましょう。
下手にマッサージをすると返って炎症がひどくなり、症状を長引かせる恐れがあります。
四十肩・五十肩の場合は肩こりとは異なり可動制限が見られる点が特徴です。
慢性期の過度な安静およびアイシング
四十肩・五十肩の症状が慢性期に入ったら、過度の安静やアイシングを控えましょう。
痛いからといっていつまでも安静にしていると、肩関節周囲の筋肉が硬くなり、返って症状の回復を遅らせます。
また、過度のアイシングも血行不良を招き、症状を長引かせる結果となるため注意しましょう。
患側を下にして寝る
四十肩・五十肩を発症したら、患側(症状がある方)を下にして寝ることは避けましょう。
寝ている間に患部が圧迫され、起きたときに痛みが強くなっている可能性があります。
痛い方を上にして抱き枕やクッションなどに腕を乗せて寝ると、患部にかかる負担を緩和する効果が期待できます。
そのうち治るだろうと放置する
四十肩・五十肩の症状は、放っておいて稀に症状が緩和する場合もあります。
しかし、多くのケースは痛みが無くなっても可動制限を残したり、再発する可能性があることを覚えておきましょう。
四十肩・五十肩の発症が疑われる場合には、まず医療機関を受診することが基本です。
四十肩・五十肩の再発を予防する方法
四十肩・五十肩は同じ側に再発しないと言われることもありますが、実際には何度も同じ症状を繰り返すことが珍しくありません。
そのため、普段から以下のような点を意識して、四十肩・五十肩の再発予防に取り組むことが重要です。
- 肩関節の可動域を広げる
- ストレッチで筋肉を柔軟に保つ
- 肩まわりを冷やさない
- 普段の姿勢を見直す
- 十分な睡眠時間を確保する
- ストレスを溜め込まない
- 適度に身体を動かす
肩関節の可動域を広げる
四十肩・五十肩の再発を予防するためには、肩関節の可動域を広げておくことが重要です。
肩関節の可動域を確保しておくことでリスクとなる筋緊張や血行不良を避けることが期待できます。
肩関節の可動域を広げるのにおすすめの運動が懸垂ですが、鉄棒にぶら下がるだけでも肩関節の可動域を広げる結果につながります。
ストレッチで筋肉を柔軟に保つ
ストレッチで筋肉を柔軟に保つと、肩関節の動きをスムーズに保つ効果が期待できます。
肩関節には様々な筋肉が付着しているため、日常的なストレッチで硬くならないよう予防しましょう。
特に肩甲下筋や前鋸筋(ぜんきょきん)、小胸筋(しょうきょうきん)などのストレッチがおすすめです。
肩まわりを冷やさない
四十肩・五十肩の再発を予防するためには、肩まわりを冷やさないことも重要です。
肩まわりが冷えると筋肉が硬くなりやすいだけでなく、血行不良に伴いダメージの回復が遅れます。
身体の回復力を低下させないためにも、普段からお風呂に浸かるなどして身体を温めることがおすすめです。
普段の姿勢を見直す
四十肩・五十肩を予防するためには、普段の姿勢を見直すことも求められます。
特に猫背になると肩甲骨の可動域が狭くなり、腕を上げる際の肩関節への負荷が増加するため注意が必要です。
デスクワークの方は坐骨を意識して椅子に座るなど、猫背の姿勢を続けないよう意識しましょう。
十分な睡眠時間を確保する
私たちの身体は寝ている間に修復、および回復が進むため、四十肩・五十肩の再発予防には十分な睡眠も欠かせません。
適切な睡眠時間については諸説ありますが、可能であれば6時間〜7時間の睡眠をとるよう心がけましょう。
ストレスを溜め込まない
ストレスが蓄積すると自律神経のバランスが乱れ、寝ている間の回復力が低下します。
四十肩・五十肩の原因は分かっていませんが、身体の回復力が低下すると発症リスクを増すのではないかと考えられています。
日常生活を送るうえでストレスを完全に避けることは難しいため、自分なりのストレス解消法を適度に実践するよう心がけましょう。
適度に身体を動かす
四十肩・五十肩を予防するためには、日常的に身体を動かすことが重要です。
身体を動かすと全身の血行が促進され、疲労やダメージの回復を早めることが期待できます。
日中に身体を動かしておけば夜間に自然な眠気が訪れ、睡眠の質を高める効果も期待できます。
まとめ
四十肩・五十肩の原因は現在のところよく分かっていませんが、不良姿勢やストレス・疲労の蓄積、筋緊張などにより発症リスクを高めると考えられています。
四十肩・五十肩の発症直後には患部を冷やし、慢性期に入ったら温める方向に切り替えることが重要です。
痛いからといっていつまでも安静にしていると返って回復を遅らせるため、無理のない範囲で動かし始めるよう意識しましょう。
今回ご紹介した方法を参考に、四十肩・五十肩の改善・再発予防に取り組むことがおすすめです。
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