西洋では「魔女の一撃」とも呼ばれるぎっくり腰ですが、発症すると激しい痛みで身動きが取れなくなることも珍しくありません。
かつてはぎっくり腰を発症すると安静にする以外に無いと言われてきましたが、現在では過度の安静がかえって回復を遅らせると分かってきています。
本記事ではぎっくり腰の主な症状や、早期回復を目指すための正しい対処法について解説します。
Contents
ぎっくり腰とは
医学的にぎっくり腰という病名はなく、急性腰痛症全般を便宜的にぎっくり腰と呼んでいます。
急性腰痛症という名前からも分かるように、ある日突然のように発症しますが、1週間から2週間すると自然と症状が消失する点も特徴です。
ただし、何らかの病気が原因でぎっくり腰を発症するケースもあるため自己判断で放置することは避けましょう。
ぎっくり腰の原因
ぎっくり腰の主な原因としては以下の4つが挙げられます。
- 筋肉の炎症
- 腰部疾患
- 仙腸関節障害
- ストレス
ここでは、ぎっくり腰の原因について詳しく解説します。
筋肉の炎症
ぎっくり腰の原因の1つが筋肉の炎症です。
筋肉は筋線維と呼ばれる細い線維状の組織が束になって構成されていますが、何らかの原因により筋線維が断裂すると炎症を起こして、痛みが出ます。
ぎっくり腰を発症して病院で検査をしても多くが原因不明とされるのは、画像検査では骨や神経しか見られないためです。
腰部疾患
何らかの腰部疾患を抱えている場合に、急激な腰への負荷によってぎっくり腰を発症するケースがあります。
ぎっくり腰の原因となる腰部疾患としては、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが挙げられます。
坐骨神経痛がぎっくり腰の原因疾患として挙げられることもありますが、坐骨神経痛は正確には病名ではありません。
仙腸関節障害
ぎっくり腰の原因として近年になって注目されているのが仙腸関節障害です。
仙腸関節は骨盤の中央に位置する仙骨と、その左右にある腸骨で構成されており、わずかな関節面で上半身の体重を支えています。
また、仙腸関節には地面からの衝撃を吸収するクッションとして働く点も特徴です。
仙腸関節はわずかな可動域を持つとされていますが、何らかの原因により可動域が減少すると、クッションとしての役目が十分に果たせず腰にかかる負担が増大します。
腰にかかる負担が増大すると次第に筋緊張が強くなったり、腰椎の変性を招いたりして、結果ぎっくり腰を引き起こしやすくなります。
近年になり一部の整形外科医が、AKAとよばれる仙腸関節にアプローチする施術を開発しました。
AKAの考え方では腰痛やぎっくり腰の原因は腰にはなく、ほとんどが仙腸関節にあるとされています。
ストレス
腰痛やぎっくり腰の原因としては、ストレスの存在も挙げられています。
通常、人間が痛みを感じると脳内の神経伝達物質の一種であるドーパミンが分泌され、痛みを緩和したり感じにくくさせたりします。
しかし、ストレス状態が続いているとドーパミンの分泌量が減少するため、わずかな痛みを甚大に感じてしまうのです。
また、ストレスにより交感神経が優位に傾くと、血管が収縮して血行不良を招きます。
血行不良により腰部の栄養状態が悪化すると、身体の回復力が低下するため腰にたまったダメージが回復しにくくなります。
その結果、ぎっくり腰を発症しやすくなるのです。
ぎっくり腰の主な症状
ぎっくり腰を発症した場合、以下2つの特徴的な症状が見られます。
- 激しい痛み
- 可動制限
ここでは、ぎっくり腰の主な症状について解説します。
激しい痛み
ぎっくり腰を発症した場合に見られる特徴的な症状が腰部の激しい痛みです。
患部が炎症を起こし、ズキズキと拍動するように痛むケースも少なくありません。
症状の程度によっては、痛みのために寝られなくなる方もいます。
可動制限
可動制限もぎっくり腰を発症した場合によく見られる特徴的な症状の1つです。
立ったり座ったりすることはもちろん、歩いてトイレに行くことが困難となるケースもあります。
ぎっくり腰で病院を受診する目安
初めてぎっくり腰を発症すると、すぐに病院に行かなければならないと考える方もいます。
しかし、痛み以外の症状がなく、安静にしていて寝られるようであれば、慌てて病院に行く必要はありません。
2、3日経って痛みが緩和してきたら、整形外科などで原因を調べると良いでしょう。
仮に腰の痛みだけでなく両足のしびれや排便・排尿障害、発熱、嘔吐などの症状がみられる場合は、早めに病院を受診することをおすすめします。
ぎっくり腰の治療法
ぎっくり腰を発症した場合、整形外科などの病院や整骨院では、以下のような治療および施術が行われます。
- アイシング
- 薬物療法
- 装具療法
- 物理療法
ここでは、ぎっくり腰の主な治療法について解説します。
アイシング
ぎっくり腰を発症すると患部に炎症を起こし、ズキズキとした痛みが出るため、一時的にアイスパックなどを利用してアイシングを行います。
アイシングを行うと一時的に血流が阻害されるため、炎症の拡大を防ぐ効果が期待できます。
また、アイシングにより痛覚神経を麻痺させることで、激しい痛みを緩和することが可能です。
薬物療法
ぎっくり腰に伴う痛みが強い場合には、非ステロイド性の消炎鎮痛剤を服用するケースがあります。
ペインクリニックなどではブロック注射を行い、症状の改善を図るケースもあります。
装具療法
ぎっくり腰を発症すると動作の度に痛みが出るため、コルセットなどで固定することがあります。
コルセットで固定すると痛みが出る動作(疼痛誘発動作)を制限できるため、可動痛を緩和することが可能です。
また、腰を押さえていることによる安心感を得られる点も、コルセットなど装具療法のメリットの1つです。
物理療法
ぎっくり腰に対しては、ハイボルトや超音波などの物理療法が行われることもあります。
ハイボルトには高電圧による鎮痛作用があり、ぎっくり腰や寝違えなどの急性症状に効果的です。
超音波治療には痛みの原因となる老廃物の排出を促す効果などが期待されています。
活法・妙見活法による治療法
妙見活法ではぎっくり腰などの激しい痛みは身体内部からのネットワークシステムの異常を知らせるサインと捉えます。
痛みのある部分に問題があると考えるよりも、システム異常に重要度をおきます。
システム異常状態から回復させるため、パソコンなど電子機器と同じように一度身体の動きを強制的に停止して(シャットダウン)そこからの再起動を図ります。
この「身体の動きを強制的に停止」する技法は妙見活法独自のもので、とても短い時間でリラックス状態を得られます。
その後の再起動により、内部が本人自身の力により身体の順番を正しく再構築できるのでぎっくり腰等の激しい痛みも緩和されるのです。
治療事例~50代男性 建築士 岐阜県瑞浪市 龍門整体療法院~
主訴
- 立ち上がろうとした瞬間、腰に激痛が走り動けなくなる
- 数日間痛みが全く引かず、家族に担がれるように来院
施術
- 初動の負荷を軽減する「三光一之活」で動きに対する恐怖心を失くす
- 「虚空玄制法」にて残りの痛みも消失(三光光陰之活より)
結果
- 立ち上がり・前後屈・回旋いずれの動作痛も全て解決
- 付き添いのご家族の方が驚かれていたのが印象的
- 1か月後メンテナンスで来院した際も問題なく過ごせていると報告を受ける
龍門整体療法院
- 住所:岐阜県瑞浪市寺河戸町1098-13
- 電話:0572-68-7340
- https://ryumon-seitai.com/
ぎっくり腰からの早期回復を目指すための正しい対処法
ぎっくり腰を発症すると仕事や家事ができなくなるだけでなく、回復するまでに多くの時間とコストが必要となります。
そのため、以下のような点を意識して少しでも早く症状を改善させることが重要です。
- 急性期は安静にする
- 患部を冷やす
- 48時間が経過したら温める方向に切り替える
- 可能な範囲で身体を動かす
ここでは、ぎっくり腰から早く回復するための正しい対処法について解説します。
急性期は安静にする
ぎっくり腰を発症すると強い炎症が起こりますが、その時期のことを急性期(炎症期)と呼んでいます。
急性期には激しい痛みは可動制限が出るため、無理に動かず安静にすることが重要です。
患部を冷やす
ぎっくり腰に伴う痛みが強い場合や、患部がズキズキとうずく際にはアイシングを行いましょう。
アイスパックなどを利用して、1時間につき10分ほど患部を冷やすのが目安です。
ぎっくり腰になった当日と翌日は炎症が悪化するりすくがありますのでお風呂に浸かることは控えてシャワーのみにとどめるようにしましょう。
48時間が経過したら温める方向に切り替える
ぎっくり腰の急性期には患部を冷やすのが基本ですが、発症から48時間が経過したら冷やす方向から温める方向へ切り替えましょう。
痛いからといっていつまでも冷やしていると、血行不良によりかえって回復が遅れるため注意が必要です。
お風呂に浸かって症状が楽になる、もしくは気持ちよく感じるようであれば、どんどん温めましょう。
可能な範囲で身体を動かす
ぎっくり腰を発症したら急性期こそ安静にしますが、それ以降は可能な範囲で身体を動かすことが重要です。
日本腰痛学会と日本整形外科学会が監修する腰痛診療ガイドラインには、以下のような記述があります。
『急性腰痛に対しては、安静よりも活動性維持の方が有用である』
痛みがあるからといつまでも安静にしていると、返って症状の回復を遅らせてしまいます。
ただし、あえて痛みを誘発するような動作を行う必要はありません。
日常の家事など、無理なくできるところから身体を動かし始めると良いでしょう。
ぎっくり腰の予防法
ぎっくり腰を発症すると、日常生活に多大な支障を来す場合があります。
そのため、普段から以下の点を意識してぎっくり腰を予防することが重要です。
- お風呂で身体を温める
- ストレッチに取り組む
- 身体の使い方を見直す
- ストレスを発散する
- 定期的なメンテナンスをおこなう
ここでは、ぎっくり腰の予防法について解説します。
お風呂で身体を温める
ぎっくり腰の多くは筋緊張や関節の硬さが原因で起こります。
そのため、普段からお風呂につかり身体を温めることが重要です。
身体を温めると筋肉や関節を柔軟に保てるだけでなく、睡眠の質が向上するため身体の回復を早める結果にもつながります。
ストレッチに取り組む
ぎっくり腰を予防するためには、普段からストレッチに取り組み筋肉や関節を柔軟に保っておくことが重要です。
特に股関節が硬くなると腰への負担が増大するため、日常的に股関節まわりのストレッチをおこなうよう心がけましょう。
簡単にできる股関節のストレッチの手順は以下の通りです。
- 布団やベッドにあおむけで寝て左ひざを立てる
- 右足の外くるぶしをあぐらのように左ひざに乗せる
- 両手で左ひざの後を持ち胸の方へ引き寄せる
- 30秒たったら反対側も同様に行う
ストレッチは気持ちよく感じる範囲で行いましょう。
身体の使い方を見直す
ぎっくり腰を何度もくり返す方は、身体の使い方を見直す必要があります。
例えば、重い荷物を持ち上げる際には一旦しゃがんで、下半身の力も使うのがポイントです。
また、椅子に座るときには猫背や反り腰にならないよう注意しましょう。
ストレスを発散する
ぎっくり腰を予防するためには、適度にストレスを発散することも大切です。
ストレスを完全にシャットアウトすることは難しいので、自分なりの発散法を見つけておくと良いでしょう。
身体を動かすことが好きな方は、ジョギングに取り組んだり、週末を利用してハイキングに出かけたりする方法があります。
運動が苦手な方は気の置けない友人とおしゃべりを楽しんだり、カラオケで大きな声を出したりすると良いでしょう。
定期的なメンテナンスをおこなう
家事や仕事が忙しくてセルフケアが難しい方は、鍼灸院や整体院などで定期的に施術を受けると良いでしょう。
ぎっくり腰は筋疲労や筋緊張の結果として起こるため、定期的に施術を受けて身体の良い状態を保つことが重要です。
まとめ
ぎっくり腰は突然のように発症することが特徴ですが、その根底には日頃の筋緊張や筋疲労が関係しています。
両足のしびれや排便・排尿障害などを伴わないのであれば、慌てて病院を受診する必要はありません。
発症から1、2日はアイシングをして安静に過ごし、48時間が経過したら身体を動かし始めましょう。
また、紹介した方法を参考に、日頃からぎっくり腰の予防に取り組むことも重要です。
また妙見活法での施術や操作法に興味を持った方は、毎月のセミナーで学ぶことが出来ます。
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