肩こりや頭痛などの不調を訴えて整形外科を受診した方の中には、ストレートネックと言われた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ストレートネックは頚椎アーチが失われた状態を意味しますが、放置すると重篤な症状を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
本記事ではストレートネックの原因や主な症状、改善・予防におすすめのストレッチなどについて解説します。
Contents
ストレートネックとは?
ストレートネックはスマホ首やスマホネックとも呼ばれており、現代人に多く見られる不良姿勢の一種です。
ストレートネックになると見た目が良くない上、肩こりや頭痛を始めとする身体的不調や、自律神経系の不調も引き起こしやすくなります。
首の骨は本来緩やかなカーブを描いており(頚椎アーチ)、首にかかる負担をクッションのように吸収する構造が特徴です。
しかし、何らかの原因によりストレートネックになると、頚椎アーチが損なわれるため首にかかる負荷が大きくなり、さまざまな不調のリスクを増加させます。
ストレートネックの原因
ストレートネックは頚椎アーチが失われた状態を意味しますが、主な原因として以下の5つが挙げられます。
- 首まわりの筋緊張
- 猫背や巻き肩などの不良姿勢
- スマホの見過ぎ
- 視力の低下
- 身長に合っていない机や椅子
ストレートネックのリスクを増加させる5つの原因について解説します。
首まわりの筋緊張
ストレートネックの原因の1つが、首まわりの筋緊張です。
中でも頭蓋骨と鎖骨を結ぶ胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)が緊張すると、顔が前に引っ張られるためストレートネックのリスクが増加します。
顔が2㎝前方にスライドすると、首には2倍の負荷がかかるため注意が必要です。
猫背や巻き肩などの不良姿勢
デスクワークなどが原因で骨盤が後ろに傾くと、バランスをとるために顔が前方へスライドするため、ストレートネックのリスクが増加します。
また、巻き肩になると肩甲骨が前にスライドするため、ストレートネックになる傾向が見られます。
スマホの見過ぎ
スマホを見る際に顔を下に向けると、頸椎に負担がかかり続けるため、ストレートネックになるリスクが増加します。
ストレートネックのことを別名スマホ首や、スマホネックと呼ぶのもそのためです。
スマホの見過ぎによる前腕屈筋群の緊張も、肩関節の内旋に伴うストレートネックのリスクを高めます。
視力の低下
視力が低下しているとデスクワークの際に、顔をモニターに近づける傾向があります。
顔を前に出すと首の筋緊張が強くなるため、ストレートネックのリスクを増加させます。
視力低下を恐れてメガネの度数を調整しない方もいますが、自分に合っていないメガネを使い続けると視力がさらに悪化するため注意しましょう。
身長に合っていない机や椅子
デスクワークの際に机や椅子の高さが身長に合っていないと、ストレートネックのリスクを高めます。
例えば身長に比べて机が低いと、顔を前に突き出す姿勢となるためストレートネックを引き起こしやすくなります。
ストレートネックの主な症状
ストレートネックになると以下の身体的不調だけでなく、自律神経系の不調も引き起こしやすくなるため注意が必要です。
- 肩こりや頭痛
- 手のしびれや痛み
- 疲れ目
- 自律神経系の不調
ストレートネックにともなう主な症状について解説します。
肩こりや頭痛
ストレートネックになると顔の位置が前にスライドするため、首や肩の筋肉に大きな負担がかかります。
その結果、首こりや肩こりが起こりやすいだけでなく、筋緊張にともなう頭痛(緊張型頭痛)の発症リスクも増加します。
手のしびれや痛み
ストレートネックにともない首まわりの緊張が強くなると、硬くなった筋肉によって腕神経叢(わんしんけいそう)が圧迫されます。
腕神経叢は上肢へ向かって伸びているため、神経圧迫が起こると腕や指のしびれ、痛みなどが出やすくなります。
医療機関で検査をしても原因が分からないしびれが、ストレートネックに伴う筋緊張に起因するケースは少なくありません。
疲れ目
スマホの見過ぎが原因でストレートネックになっている方の多くに疲れ目が見られます。
目から入った情報は脳の後頭葉で処理されますが、目を酷使することで後頭葉の疲労を招き、結果として疲れ目を引き起こしやすくなります。
また、スマホの見過ぎ自体も目の疲れを引き起こすため注意が必要です。
自律神経系の不調
首の前面には星状神経節と呼ばれる「神経のツボ」があり、筋緊張によって神経圧迫が起こると自律神経系の不調を引き起こしやすくなります。
代表的な症状としては耳鳴りやめまい、吐き気、ふらつき、のぼせ、イライラなどが挙げられます。
ストレートネックを放置するリスクについて
ストレートネックは病名ではなく、頚椎アーチが消失した状態を意味します。
筋緊張による一時的な頚椎アーチであれば、マッサージなどの保存療法で改善することが期待できます。
しかし、ストレートネックの状態が長く続くと、やがて骨自体が変形するリスクが増加します。
骨自体が変形してしまうと保存療法での改善が困難となるうえ、将来の変形性頸椎症などの発症リスクが高くなるため注意が必要です。
ストレートネックのセルフチェック法
ストレートネックであるかのチェックは、かかと・お尻・肩甲骨・肩を壁にくっつけて真っすぐ立つことで簡単に行えます。
頭が壁にくっつくようであれば、ストレートネックの心配はないでしょう。
意識すればくっつくようなら軽度のストレートネック、力を入れれば中等度のストレートネックの可能性が疑われます。
頑張って力を入れても頭が壁に全くつかないようであれば、重度のストレートネックが疑われるため注意が必要です。
ストレートネックの改善法
ストレートネックに伴い身体的、および精神的不調が起こっているようであれば、症状に応じた対症療法を行うのが一般的です。
しかし、ストレートネックを根本から改善するのであれば、普段から以下の点に取り組む必要があります。
- 普段の姿勢を見直す
- 寝具を替える
- 椅子と机の高さを調節する
- スマホを見るときに下を向かない
- ストレッチをおこなう
ストレートネックの改善法について解説します。
普段の姿勢を見直す
ストレートネックを改善するためには、普段の姿勢を見直すことが欠かせません。
デスクワークに伴って猫背になる方は、以下の手順で正しい姿勢で椅子に座る習慣を身につけましょう。
- 椅子の前に立って前かがみになり、両手をひざの上に置く
- 前傾姿勢のままお尻だけ座面に乗せる
- 両手でひざを押しながら上半身をまっすぐに伸ばす
上記の座り方だと坐骨に体重が乗るため、上半身に無駄な力が入らない理想的な座り方を身につけられます。
デスクワークに伴う肩こりや腰痛に悩まされている方にもおすすめです。
寝具を替える
ストレートネックを改善するためには、寝具を替える必要があるかもしれません。
特に高すぎる枕を使っていると、寝ている間に首まわりの筋緊張を引き起こしやすくなります。
寝返りが楽に打てる高さの枕に替えることがおすすめです。
また硬さも寝ている間の姿勢と寝返りに大きく関係します。
枕が柔らかい場合、頭が沈みすぎてしまい寝返りがしにくくなります。
一方で枕が硬い場合には、頭が浮いてしまい首や肩への負担が大きくなることで筋肉の緊張を誘発します。
各々の状態にあった適度な硬さの枕に変える事をおすすめします。
椅子と机の高さを調節する
デスクワークの方は、椅子と机の高さを調節することもストレートネックの改善に必要です。
両足を地面につけた状態で、ひざと股関節が90度になるよう椅子の高さを調整しましょう。
また、肘の角度が110度以上になるよう机の高さを調節するのもポイントです。
スマホを見るときに下を向かない
ストレートネックが気になる方は、なるべくスマホを見る際に下を向かないよう意識しましょう。
スマホを顔の前に持ってくると、下を向かずに画面を見ることが可能です。
また、必要のないときはカバンにしまうなどして、スマホを頻繁に見ないよう心がけましょう。
ストレッチを行う
ストレートネックの改善には、胸鎖乳突筋のストレッチが効果的です。
胸鎖乳突筋とは首の後ろの部分から鎖骨の内側にかけて繋がっている太い筋肉の事です。
この筋肉をほぐし、ケアすることで頭をしっかりと支えられるようになるのでスマホ首の改善にも効果的です。
胸鎖乳突筋のストレッチは以下の手順で行いましょう。
- 背筋を伸ばし右手で左の鎖骨を下に押すようにしっかり押さえる
- ゆっくりと息を吐きながら、頭のてっぺんを右斜め後ろに倒し左の胸鎖乳突筋を伸ばす
- ゆっくりと呼吸をしながら体勢を30秒ほどキープする
- 反対側も同じようにおこなう
斜め上を見る際に口が開かないよう意識しましょう。
口が開くと首の前面の筋肉が緩むため、ストレッチの効率が低下してしまいます。
活法・妙見活法での治療
妙見活法は日本古武道の桓武月辰流柔術に伝承される手技療法です。
ストレートネックなどの現代病と言われている症状にも柔軟に対応できる技術があります。
妙見活法はいわゆる「骨格の歪み・ズレ」などを重要視しません。
骨格はそれぞれの生活背景により微妙なバラつきがあります。
教科書的な骨格の位置からズレていたり歪んでいるように見えても、その人の健康状態に何も問題がなければそれは正常な骨格と考えます。
その逆にレントゲンでは異常が見られないため原因不明と診断され不具合の症状を訴える人も沢山います。
それは一部の部位をクローズアップして歪みと判断するからです。
妙見活法では静止している状態の形よりも、動的な世界からの判断をします。
頸椎が理想的な弯曲をしていたとしても、何らかの不具合症状があるのならその形を良しとせずに、連動する根元的なバランスを図ります。
形を治すのを目的にするのか、症状をなくすことを目的にしているのか、そこが妙見活法と他の治療法の違いです。
治療事例~30代 女性 千葉県習志野市 月辰会活法整体院~
主訴
- 社会人になって以降デスクワーク業務で、終業後はいつも首のコリに悩む
- 整形外科でレントゲンにて「ストレートネック」と診断される
- 週2回のリハビリを2か月続けるが変化無し
- 知人の紹介にて来院
- 常時首コリ・肩こりを感じている
施術
デスクワークの姿勢になってもらい、首一極に負担のかかる姿勢から体全体で負荷を分散する座り方に整える(三光一条之活)
結果
- 施術前後で首・肩の状態が全く違うことを実感
- 施術後もしばらくデスクワークの体勢を取っても、重くのしかかる感じがなくなったとの事で終了
月辰会活法整体院
- 住所:千葉県習志野市津田沼4-1-25 ダイワティアラ津田沼Ⅶ
- 電話:047-454-0001
- https://gessinkai-kappou.com/
まとめ
スマホが必須となった現代人にとって、ストレートネック(スマホ首)は現代病の1つとも言えるでしょう。
ストレートネックになると肩こりや頭痛など身体的な不調だけでなく、精神的な不調も引き起こしやすくなります。
また、ストレートネックを放置すると、やがて骨の変形が起こり元に戻すことが困難となるため注意が必要です。
将来の首まわりの疾患を避けるためにも、今回ご紹介した改善・予防法に取り組むことがおすすめです。
また治療家の方で妙見活法の施術を学びたい方、興味のある方はセミナーやDVDによる学習もサポートしております。
無料サンプル動画などもご用意しておりますので、気になる方はお気軽にお問い合わせください。